カカオ72% Part 5

last wall 9 -side Ki- ページ37

ニカとAが付き合いだして
数ヶ月。

相変わらずAとニカは
喧嘩して仲直りしてを繰り返してる。

喧嘩の理由もくだらなくて
最後の1本のビールを飲んじゃっただとか
寝てる間に布団取っただとか
どの番組見るかで揉めたとか
しょーもない事で喧嘩して
すぐに仲直りして一晩ニカんちで過ごして帰ってくる。



そう、帰ってくる。



Aがうちに居ると助かるんだけど。

相変わらずくっついて寝るAにどこかホッとするんだけど。



やっぱり疑問だ。



「ニカと住まねーの？」

「だからー、住まないってば」



ソファでテレビを見てる時に
俺から発せられる何度目かの質問にAがさすがに怒る。



「にぃはそんなに私に出てってほしいの！？」

「……違うけど」

「じゃあいいじゃん！今度また同じような事聞いたら出てくからね！ニカんちじゃなくて一人暮らしするからねっ」

「は？意味わかんねーだけど」



するなら同棲だろ、と思ってたら

「私もニカも別に四六時中一緒に居なくていいもん」

なんてAが言い出して
俺の腕を持ち上げるとその下に入ってくる。

俺が抱きしめてるみたいな状態になると満足そうにAは笑ってるけど

「………はぁ？」

さすがに聞き捨てならない。



「自分の時間も大事だから、たまに1人の時間ないとしんどくなるよ。私もニカも」



まるで全然平気みたいにAは言うけど
それなら何で俺にこんなに甘えてんだよ。



「ならにぃにそんなに甘えてくるなよ」

「は？それとこれとは別じゃん」



ものすごくムッとするAは

「何？私がくっついてくるなって事？」

怒りながら離れようとしてるから

「そうは言ってねーだろ」

ギュッて抱えて離れられなくすると

「じゃあいいじゃん。何なの？」

俺にくっついて溜息をついてる。



「にぃとニカは別。にぃはにぃ、ニカはニカ」



満足そうに俺の腕にジャレてくるAは
小さい頃から変わらない。


確かに昔からこうやってAはジャレてくる。

でもそれは小さい時にはニカみたいな存在無かったからじゃん。



ただ、確かに俺もこうやってAと過ごすのは幸せだ。

どれだけ仕事が上手くいかなくても
家に帰るとAが居て無条件で甘えて甘えられる存在はデカい。

めちゃくちゃ癒される。



柔らかいほっぺたをフニフニすると

「んふふふふ」

どこか嬉しそうに笑うAが愛しいし
めちゃくちゃ可愛いと思う。




でも漠然と心配だった。

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