カカオ72% Part 5

last wall 8 -side 2- ページ36

ミツの様子が変で
その埋め合わせでAちゃんがうちに泊まりに来た数日後。

久しぶりにミツと仕事で一緒になる。

さすがに何か言ってくるだろう、と思う。
でもあまり身構えても変だから出来るだけ自然にしてた。



休憩で喫煙所で2人になった時に

「……ニカさぁ」

ミツが話しかけてくる。



…………来た。

さすがに身構える。



話しかけてくるけどミツは目線はこっちを見てなくて。

「俺に遠慮してね？」

目を逸らしたまま聞いてくる。



遠慮？



そんなの

「してないよ」

「嘘つけっ、ホントはめちゃくちゃムカついてたんじゃねーの？」

「え、ムカつくの？何に？」

ミツに怒ることとか心当たりないけど。



いや、無いって言うのは若干嘘になる。

心当たりがあるとしたら1つ。



そして

「せっかくAと会ってるトコだったのに帰って来させるとか……」

ミツがその心当たりについてボソボソと言う。



あぁ、やっぱり。



そしてその心当たりをズバリを言われたけど俺的には不満じゃなかったから

「あぁ、それは別に」

答えると

「……ホントかよ」

半笑いでミツが言う。



そりゃあもちろん
不満がゼロじゃないって言ったら確かに嘘になる。
Aちゃんと過ごす時間、めちゃくちゃ楽しいから。

それをミツから様子がおかしい電話がかかってきた事でAちゃんは帰っちゃったし。
実際Aちゃんと過ごせないのが残念だな、ともその時は思った。



案の定ミツは

「もういい大人なんだし、ニカから見たら俺はメンバーだし付き合いも長いじゃん。気にする事無くね？遠慮せず俺の事なんかほっときゃいーじゃん」

その事について口を尖らせてさらに言う。



それも一理ある。

ミツなんだからほっときゃ良かったのに、って。



でもそれ以上に

「だってミツが変だったから俺も心配だったんだもん」

ミツはAちゃんのお兄ちゃんだけどメンバーなんだよ？
Aちゃんとよりミツとの付き合いの方が長いんだもん。



そんなミツのあんまり見た事ない反応だったから
余計に心配になったんだよ。

それのどこがムカつくわけ？



なのにミツは

「お人好し」

ものすごく不満そうに俺に言う。



「俺がミツの心配しちゃダメなの？」



むしろそれが悲しいんだけど。



でもミツは

「知らね」

冷たく言うと先に喫煙所を出ちゃう。



…………変なミツ。



ミツを追って部屋を出たけど
それ以上ミツはこの事について何も言ってくれなかった。

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