カカオ72% Part 5

last wall 6 -side Ki- ページ34

「こじらせてるねぇー」

「………」



一通り近況を話した後でニヤニヤしてる宮っちが言う一言に
何も言い返せない。



「ていうかさ、それでAちゃん、ニカんちから帰って来ちゃったんでしょ？」

「……おん」

「Aちゃん、怒らなかった？」

「全然」



そう、Aはニカんちに泊まる予定だったのに
帰ってきた。



Aに何で帰ってきたのか聞いても

「別に？」

って何も言わねーしAも文句言ってくる訳でもねーし
いつも通りAとくっついて寝た。

むしろAがくっついてきてた気がする。



次の日にニカに会っても

「ミツ元気？」

って心配そうに聞いてきて。



恨み言でも言ってくるのか
もしかしたらニカが心配そうなのも演技でめちゃくちゃ恨まれてるのかもしれない。
だから出来るだけ笑って

「ん？元気だけど？」

普通に返したら

「そっか！良かったぁー」

本当に嬉しそうにニカは笑う。



2人とも意味分かんねー。

俺ならブチ切れる。
せっかく彼氏彼女と一緒に過ごす予定だったのに
訳分かんねー電話掛けて心配掛けてきて何でもねー感じだったら
邪魔すんなよ、って思う。



「2人とも普通なの。意味分かんね」



なんでなんとも無いんだろ。
怒ればいーのに。



「ふーん、悪い事したって自覚あるんだ」

「…………まぁ」

「あははは！キタミツ可愛いー」



口篭りながら答えると笑う宮っちに
また何も言い返せない。



っつーかさぁ

「あの2人、ホントはお互い我慢してんじゃねーかな」

やっぱり思う。



「何で？」

「Aは相変わらず俺にベッタリだし、ニカは俺に気を遣ってAに本音言えてねーんじゃね？と思って」

「……あぁー、なるほどね？」



でも相槌を打つ宮っちはクスクス笑って

「まぁ、コレでニカの話し聞いちゃったらズルいから俺はニカに何も聞かないし、聞いてもキタミツには教えないけど。何となく思うのは2人ともキタミツが大好きなんじゃない？」

手にしてるハイボールを飲む。



そうかなー。
単に遠慮してるだけじゃねーの？

「それよか、2人とも肝心なトコで素直じゃねーじゃん」

いつもそう。
相手に遠慮ばっかして。



特にAは
普段しっかりしてるし、スキもないし、優等生気質なトコある。

自分はお利口でいなきゃ、って。

何でも自分でやってきて
ストーカーとも戦って。

ずっと家の中で過ごして一時期大変だったけど
それでも笑ってて。




…ホントは無理してんじゃねーの？

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