カカオ72% Part 5

last wall 2 -side You- ページ30

ニカの家に来るペースは
週1から2くらい。

ニカの家では私はゲスト扱い。
何もさせてもらえない。

夕飯の後の食器の片付けくらい。

掃除はニカがしてるし
洗濯物の畳み方もニカの畳み方があるし

「自分でやるの好きなの」

って全部自分でやっちゃう。



ニカが先に出かける時も

「洗濯物やっとこうか？」

声を掛けたらやっと

「うん、お願い」

って申し訳無さそうに言われるくらい。



家事好きの私としては相当物足りない。



だからムスーッとしちゃうと

「………何でそんな不満そうなの？」

ニシシ、って顔で笑いながら私の頬をつっつくニカに

「私、ニカの役に立ててないんだもん」

つい不満なのを言う。



ただニカんちでくつろいでるだけってどうなの？

私がダラダラしに来ただけみたいじゃん。



そんな私にニカはびっくりした顔をして

「え、全然？こーしてうちに来て一緒に飲んだり話してくれるだけでめちゃくちゃ嬉しいけど」

って私の頬をつねったり撫でたりしてる。



サラッと優しい顔で言うニカに
私の事が大好き、って気持ちが溢れててこっちが照れちゃう。



「なら何もしないね」

「あはは！そう宣言されちゃうと何かやらせたくなるかも」

「しないよー。やる気無くなった」



でもなんか釈然としないんだよなー。

とはいえニカが支度するのを邪魔しないようにリビングでテレビを見始めてると
準備が出来たニカが私の横に座って

「でもね、何かあった時はAちゃんにしか頼めないと思ってるよ？」

まだムスッとしたままの私に言う。



「寝込んでた時、起きたらいつも通りでめっちゃ感動した。だから、困った時は頼むからそんな顔しないで？」

私の頬をグリグリしながら言うニカは楽しそうで。

「子供扱いして」

「だってめっちゃ拗ねてんじゃん」

「私の方がお姉さんですー」

「はいはい」

やっぱり機嫌が直らない私にあやす様にニカは返事をする。



そして

「一番頼れて、俺が唯一甘えられるのはAちゃんだけだから」

急に甘い爆弾を落とすニカは
計算なんかしないから本音なのはすぐ分かる。



多分真っ赤になった私に釣られて同じように赤くなるニカは

「……そろそろ行くね」

って、私に背を向けてそのままリビングを出て行こうとするから
慌てて追いかけて背中からニカに抱きついた。



「ありがと、ニカ」

「やめて、いま恥ずいっ」



ニカの気持ちをいつも確認出来てたから
にぃが心配してるなんて夢にも思わなかった。

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