カカオ72% Part 5

カタチ。 45 -side You- ページ28

「……ねぇ」

「ん？」

「これ、何？」

「誕生日のお祝いっ」

「…………」

私の頭には『Happybirthday』と書かれた帽子。
そしてニカの誕生日で使ったタスキとメガネ。



「お誕生日おめでとーうっ」



パチパチと拍手してくれながら言うニカは満面の笑顔で。

余計なことしなきゃ良かった。
逆にこれは恥ずかしい、って思う。



むしろニカはそれを狙ってやってるのかも。
来年阻止するために。



だとしたら

「ありがとうーっ！ニカの誕生日、楽しみにしててねっ」

ニカの上をいく演出しないと。



次のニカの誕生日にはこれにさらに何か付け足そう。
んー、マントとかかな。王冠にするかな。

なんて考えてたら。

ニカが真剣な顔をして私を見る。



「………どしたの？」

「いいの？誕生日お祝いしてくれるの？」

「当たり前じゃん」



何を言ってるんだろう？と思ってニカを見上げたら
得意のカワウソ顔をしてる。



あ、私の誕生日に酷いことした事、気にしてるな。

自分ばっかりいい思いしていいのかな、って気にしちゃう。
こういう所がニカらしくて好きだ。



「今日の事サプライズしてくれたから、この前の誕生日当日の事は忘れるよっ」

『本日の主役』のタスキをアピールしながら言うと
ニカは嬉しそうに笑って

「うん、本当にあの時はごめんね？」

私の頭を帽子越しで撫でてくれるから
帽子の分の距離が憎いと思ってる私は正直とっくに許してるわけで。



ちゃんと部屋の電気を消してロウソクを立てて

「Happybirthday To Youー、Happybirthday To Youー」

って楽しそうに歌ってくれるニカは
私よりニコニコしてて

「Happybirthday Dear Aちゃーん、Happybirthday To Youー」

拍手してくれるから、ふぅー、ってロウソクを吹き消すと電気がつくけど
ニカが居ない。



あれ？
と思ったら首元にひんやりとした感触。

「誕生日、おめでとっ」

ニカの声が背後からしてそのまま抱き締められる。



「……何をプレゼントしてくれたか見えないよ」

「いいの。後で見て？」



ギュッ、て抱き締めてくるニカは

「これからのAちゃんの誕生日は、ずっとお祝いさせて？」

甘えるように言われたら
ものすごくキュンとして。



「じゃあ、ニカの誕生日はずっと私がお祝いする」

「うん。もちろん」

「クリスマスと、バレンタインもね」

「ハロウィンも仮装して写真撮ろっ」

「うん」



遅くなっちゃったけど
すごく幸せな誕生日になったよ、ニカ。

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