カカオ72% Part 5

カタチ。 41 -side You- ページ24

「おじゃましまーす」

今日はある意味両想いになって初めて
ニカの家に来る日。

少しだけ緊張してニカんちに着いて玄関から声を掛ける。

「いらっしゃい」

リビングのドアから顔を覗かせるニカ。



「シャワー借りるね」

「ん」



いつものようにシャワーを借りて
ゆるっとした部屋着を着て

「シャワーありがとー」

「ん？」

リビングに向かうとニカが驚いてて。



「早くない？」

「あ、髪短いからだよ」

「なるほど」



納得したニカは私がちゃんとシャワーを浴びてないと思ってるんだろうか。



「ちゃんとシャワーしたしっ」

「……別に疑った訳じゃ」

「じゃあ驚くことないじゃん」



ニカの方に詰め寄って

「ほら！シャンプーしたしっ！」

頭を振ると

「分かった！分かったから！」

距離を取るニカと追い掛けっこみたくなって。



「ほら！下の階に迷惑だから！」

「じゃあニカが止まりなよ！」

「Aちゃんが止まればいいでしょ！」



笑いながらふざけ合う私たちは
ニカを壁まで追い込むと壁ドンする。

「……逆じゃない？」

「ニカが逃げるからでしょ」

「Aちゃんが追い掛けるからじゃん」

今度はムスッとし合う私たちはしばらく睨み合いを続けたと思ったら

「スキあり」

ニカが私が壁ドンした腕を下からバッて解いてギューって抱きしめる。



「痛い痛いッ」

「知らない。ホント無自覚だよね。シャンプーの香り嗅がせるとか俺がムラムラしたらどーすんの？」



なんて言うからびっくりしてニカを見上げると
ホントに嫌そうな顔をしてる。

「え？え？するの？」

ニカの前で頭を振ったら

「もーー！！いい加減にしなよっ」

ニカは軽々と私を担ぎあげる。



ちょっと！
これ、彼女にする事！？

「ヤダ！降ろして！」

「こーすれば頭振っても匂いしないもんねっ」

「もー！ニカ！」

バタバタ暴れる私に

「ちょ、危なっ……」

ニカが慌ててる。



何だか私たちらしい、甘すぎない雰囲気。
友達の延長みたいな、仲のいい姉弟であり兄妹みたいな。

ちゃんと『好き』って言ってから
何かが変わる訳でもなく。



ただ、少し変わったのは変な緊張感が無くなったな、って思う。
前までの『どこまでなら大丈夫？』みたいな探り合いの雰囲気が無い。



だから、抵抗を辞めたら降ろしてくれたニカに

「ニカだからふざけてるよ」

目を見て言うと笑うニカは

「ならいいか……ってなるかー！」

って痛いくらい抱き締めてくる。



すごく幸せ。

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