検索窓
今日:31 hit、昨日:22 hit、合計:67,629 hit

カタチ。 37 -side 2- ページ20

「私ともう一緒に居たくなくなったならそう言いなよ」

明らかにAちゃんが苛立ってるのが分かる。



違う。
そんなんじゃない。

「そんな事思ってな…」

「じゃあ何で!?」

言いかけても食い気味に言うAちゃんは
似合わないって誤解させた事で相当傷ついてたのかなと思ったら違った。



「何でこの前あんな言い方して、さっきもものすごく冷たい顔したの?」



ドア越しで顔が見えなくて声だけでも
Aちゃんが泣きそうなのが分かる。

「それは……」

言っていいのかな。

この前は、外で可愛いカッコしてるのが嫌であんな言い方して
さっきは俺を見て泣きそうになったから目を逸らしたんだけど。



もうそんな事言ったところで
Aちゃんが納得するとは思えない。

それくらいAちゃんを見てれば分かる。



タマが知ってるのに俺が知らない事があるのも嫌で
もっと言えばタマだけじゃなくて黒い服のあの男と会ってるのが嫌なくらいAちゃんが好きで。



とにかくAちゃんが好きだ。



なのにAちゃんは

「私が用済みになったんでしょ?」

とんでもない事を言い出すから

「違う!」

つい大きな声を出しちゃう。



いざAちゃんをドアを隔ててでも前にしたら
緊張してなんて言っていいか分からない。

ただ好きって言いたいのに出てこない。

今思えばミツに『Aちゃんを縛りたくないから『好き』とか『ずっと一緒に居よう』って言わない』って言ったけど
単に言えないの間違いじゃないかなって思う。



少しして小さく鼻を啜る音がした。



Aちゃん、泣いてない?

「ねぇ、ここ、開けて」

声を掛けてもAちゃんは返事をくれない。



「大切な事だから、顔見て言いたいんだけど」

「やだ」



Aちゃんが冷たく返すから

「じゃあ、このままでいいから聞いて」

このまま話すしかないね。



めちゃくちゃ緊張する。



息を吸って

「Aちゃんの事が、好き。ずっと前から」

しっかり言う。



「Aちゃんを縛っちゃう気がしたし、何となく嫌われてはいないな、って思って曖昧にしちゃってたけど。泣かせるくらいならちゃんと言わなきゃダメだよね」

Aちゃんは何も言わない。
それがまた緊張する。

「タマにも怒られた。言わないと伝わらないよ、って。だから、ちゃんと好きって気持ち伝えたくて」



全部言い終わったらAちゃんが言う。



「ごめん、最初なんて言った?」




………はぁっ!?

カタチ。 38 -side You-→←カタチ。 36 -side You-



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (166 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
438人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

shizu(プロフ) - ななぼーさんさん» はじめまして!ものすごく嬉しいお言葉ありがとうございます!うわー、本当に嬉しいです💗また書かせていただきます! (2022年11月30日 8時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - さくらさん» うわー!嬉しいです、ありがとうございます!落ち着いたら書こうと思います😊 (2022年11月30日 8時) (レス) @page21 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
ななぼーさん(プロフ) - はじめまして!いつも作品楽しく読ませていただいてます!shizuさんの作品、本当に大好きで何度も読み返してしまうものもあります!今回の作品も大好きです!!続き、楽しみにしてます! (2022年11月29日 19時) (レス) @page18 id: 613beb2b91 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 最高です。shizuさんのお話しのタマちゃんもニカちゃんもだいすきです!!タマちゃん編たのしみにしています!! (2022年11月28日 23時) (レス) @page18 id: fafa72142e (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - さくらさん» 私の中でタマちゃんって中身もイケメンなんで、結果こうなりました☆タマちゃん編も書けたらなぁと思ってます (2022年11月28日 8時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:shizu | 作成日時:2022年11月10日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。