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秘めた想い その後 14 -side T- ページ6

何を言ってもAは黙ったまま。
でも

「A」

声を掛け続けて
靴を脱いでAに近づいた。



「ずっと、これからもずーーっと、今は距離が離れてても心はそばに居て欲しい」



今の俺とAの居る場所は
距離的には新幹線で3時間の距離。

でも距離とか関係ない。
Aとなら遠距離だって大丈夫。



だってこんなに好きになった子、他にいないもん。

一生、嫌いになれない。



水曜日に一緒に過ごせなかった事をAは他の子と過ごしてるって誤解してくれてて
妬いてるのが初めてだから嬉しくて。

俺が北山さんに妬いたみたいにAも妬いてくれたのかな、って思うと
ダメだ、って分かってるけどニヤける。



「ね、A、こっち向いて?……顔、見せて?」



声をかけてもAは振り返らない。

ズズッ、って鼻を啜る音がする。



あ、泣かせた。

さすがに嫌われたかな。



でも好きなんだ。

Aの事が、ずっとずっと、好きなんだ。



それでもめちゃくちゃ嫌われたんだとしたら
さすがに諦めないとだよね。



……嫌だけど。

めっっっっちゃくちゃ、嫌だけど。



だから

「A」

全然振り返らないAに不安になって
泣きそうな声になっちゃった。



やっと振り返ってくれたAは
やっぱり涙と昨日のお化粧のままだからぐちゃぐちゃの顔になってて。



こんな顔にさせてごめん。

「本当にごめん。俺の所に帰ってきて?」

最後のチャンスだと思う。
嫌だって言われたらどうしよう。

でもAが決めたなら仕方ない。



Aはさらに泣き顔になって唸りながら抱きつくと
ギュッてしがみついて泣き出した。



「……玉森くんのばか」



泣きながらAは言う。



「水曜日、学校行ってるなら言ってよ」

「…また落ちたらカッコ悪いもん」

「めちゃくちゃ不安だったんだよ?」

「ごめん」

「嫌われたって思った」

「ごめん」

「誕生日、忘れてたし」

「それはホントごめん。二階堂にも二階堂の奥さんにもめちゃくちゃ怒られた」

「玉森くんからお別れしてもらおうと思ってたのに」

「それは絶対出来ない。俺、Aの事めっちゃ好きだもん」

「私もできないから、距離置こうって言って、自然消滅するつもりだったのに」



Aの『距離を置こう』は
やっぱりそうだったんだ。

二階堂の奥さんすごいな。





だけど

「しないよ。自然消滅なんて、させないから。これからもずっとずーっと」

もう二度と離れないから。

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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

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