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嘘だらけの婚約者 その後 13 -side Y- ページ50

Aの行動をパターンを考えると
まず家に帰りたくないと思ったら店を出て反対に歩き出すだろう。

飲み屋が多いところは治安悪いから歩かないとして
その中でも街灯が多くて
まあまあ散歩やジョギングしてる人も居るところを歩くと想定すると……



出たのは川沿いの道だった。



さすがに遅い時間だから
パピーが眠いのか足がもつれてくる。

抱えてみたらすぐに眠ってしまった。

あぁ、申し訳ない事したな。
でもパピーだってAが心配だよな？



パピーを撫でながら歩いてると
正面から見た事のあるシルエット。

Aだった。



ほら、やっぱり。



でもAは目が悪いからまだ俺に気づいてないみたい。

目の前に立つようにAの方に向かって歩いてるのに
Aはわざとらしく避けてる。

しかもコレは俺だからじゃなくて
普通に避けてるんだろう。



「避けてんじゃねーよ」



相手が俺って分かってからも突っかかり続けるAは
パピーには謝るのに
挙句の果てに

「渉には『先に寝てて』って言ったもん。パピーには言えてないし」

って言い出す。



さすがにムカついた。
こっちがどんな思いでココに来たと思ってんだよ。

「……迎えに来て悪かったな」

もう勝手にしろよ。
少しは頭冷やせ。



さすがに置いて帰ろうとしたら

「渉がそんな感じになるから来ないで、って言ったの！なのに勝手に来たのは渉じゃん」

Aの声は震えてて。



「仕方なく私の面倒見てくれてるならもういい。渉の御家族には、私からダメになったって連絡しとく。今までありがとう。ごめんね、最後まで面倒かけて」



なんてまるで別れるみたいな言い方。



「は？なんでそーなる訳？」

「もー無理だよ、私ばっかり、好きで。私たち、続かないって、こんな、んじゃ」



ぐすっ、ぐずっ、って泣き出すAは
振り返るとめちゃくちゃ泣いてて。

「もう嫌。私ばっかり好きで、好きって伝えても渉は何ともなくて。もう好きじゃないならそう言ってよ！」

俺に背を向けてAは走り出す。



「ちょっ、A！？」



慌てて追いかけるけど。

俺はパピー抱えてるし
Aは身軽。

しかもアイツ、高校時代リレーでアンカーとかやってたんだけど！！

「待てって！」

追いかけるけど、どんどん遠くなるAの背中。



足がもつれてくる。
パピーに負担をかけないように走るから限界がある。




でも、いまAに逃げられたら一生後悔する。

とにかく追いかけ続けた。

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