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嘘だらけの婚約者 その後 13 ページ49

スマホの電源落ちてから。

自分でも方向感覚には自信があったし
川沿いだから一本道だし。

来た道を戻ればいいから
余裕だった。



さすがに1時回ってたら
不審者も何もない。

静まり返った道を歩くのはある意味どこか楽しかった。



さすがに漫喫じゃなくておうちに帰るか。

渉が怒ってるかもなー。
それだけが気まずい。



何となく適当に歩いたハズなのに土手を歩いてると
ああ、さっきこの花見たな、とかこのサッカーボール見たな、とか
意外と覚えてる。



私の帰巣本能しっかりしてるな。

前世伝書鳩だったのかな。



くるっぽー、くるっぽー、なんて口ずさみながら人のいない道を歩いてて
完全に私の方が不審者状態。



すると、正面から人が歩いてきた。



こんな時間に散歩かな。

その人の邪魔にならないように道を開けようとしたのに
その人は同じ方に歩いてくる。



うわ、ウザ。



また避けようとしたら同じ方にまた寄るから
さすがに嫌だなと思ったら

「避けてんじゃねーよ」

正面の人が立ち止まって声を掛けてくる。



あぁ、なんだ。



「渉?」

「『渉?』じゃねーよ。何してんの」

声を掛けると街灯で顔が見える所まで来た渉は

「危ないだろ、こんな夜中に人通りのない所歩いて」

って、ものすご嫌そうな顔してる。



「大丈夫だよ、こうして無事じゃん」

「何かあってからじゃ遅いの!」



怒る渉はパピーを抱えてて。



「え、パピーまでどうしたの?」

「Aが帰って来ないからだろ。A迎えに行くって言ったらはしゃいじゃって」

「こんな夜中なのに?」

「だから途中で抱っこしたら寝ちゃった」



パピーは渉の腕の中で気持ち良さそに寝てて。

こんな夜中に
パピーを歩かせる事になっちゃったのが申し訳ない。



「え、ごめんね、パピー」

「…………何でパピーにはソッコーで謝って俺には何もない訳?」



すごく不満そうな渉だけど不満なのは私も同じだし
あのカウンターでの私にじゃない笑顔を思い出したら

「渉には『先に寝てて』って言ったもん。パピーには言えてないし」

なんて、せっかく迎えに来てくれた渉に
可愛いくない事しか言えない。



渉はため息をつくと

「……迎えに来て悪かったな」

私に背を向けて歩き出す。



ほら、そうじゃん。

「渉がそんな感じになるから来ないで、って言ったの!勝手に来たのは渉じゃん」

我慢してた涙がついに溢れてきた。




渉のバカ。

私の事が嫌いなら嫌いでいいよ、もう。

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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

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