嘘だらけの婚約者 その後 12 ページ47
ミツさんの嘘つき。
あのおまじない、全然効果ないじゃん。
渉が帰っていいって言うから
ムカついて帰ってきたけど
まっすぐ帰る気になれなくて。
少し頭を冷やしてから帰ろう。
そう思って何となくフラフラ近所を散歩するだけのつもりが
いつの間にか遠くまで来てたみたい。
あまりよく知らないところまで来た。
まぁ、スマホあれば地図あるし
どうにでもなるか。
歩き疲れたなー、なんて思いながらふと見渡すと
川に出る。
高校時代を思い出す。
放課後にみんなで河川敷で集まって
ただただ、渉と笑って過ごしていた日々。
あの頃は楽しかったな。
ずっと笑ってたし。
渉の事を意識してなかったけど
思えばあの頃から渉の隣は居心地が良かった。
鼻の奥がツンとして
目にジワッと涙が浮かぶ。
でも泣くのは悔しいからグッと拳を握って
歩きはじめた。
効果音をつけるなら『ガシガシ』ってくらい
まぁまぁの勢いで歩く。
競歩かって勢いで土手を歩く女とか謎だろうね。
どっちが不審者か分からないだろう。
どのくらい歩いたか
ふと足を止めて辺りを見渡すと
本当にここどこ？って場所だった。
もうそろ日付も変わる。
………さすがに帰ろうかな。
思った時にスマホが鳴る。
ディスプレイには
『渉』
の表示。
あーーーー、怒られる。
でも出ないともっと怒られる。
「……もしも…」
『A！？いまどこ！？』
渉の必死な声。
あー、心配かけた。
これでいま私も何処か分からない、なんて言ったら
余計怒られる。
でも仕方ない。
「……それが、私もいま何処にいるのかよく分からなくて」
『無事！？倒れたとかじゃなくて！？』
「あ……、うん」
『そっか……良かった………』
ものすごくホッとした声で渉が言うけど。
心がささくれてる私は
どうせ一緒に暮らしてる責任で心配してくれてるだけで
本当はカウンターで話してた女の人の方がいいんでしょ？としか思えない。
だから
「しばらく帰らないけど大丈夫だから先に寝てて」
って言うと
『は？今どこかも分かんねーのに？』
ほらね、渉は冷たい口調。
「スマホでマップ開くからいい」
『それなら位置情報送って来いよ』
「1人で帰れるよ、子供じゃないんだから」
でももう帰りたくない。
なんなら今日は漫喫でも行こうかな。
好きな漫画読んでポテチ食べて過ごしたい。
「とにかく大丈……」
まで言った時に。
スマホの電源が切れた。
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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (
レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした！ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非！ (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：shizu
| 作成日時：2022年9月25日 7時
