嘘だらけの婚約者 その後 10 -side Y- ページ44
作ったスープを少し飲んで
薬も飲んだAは
「後はもう大丈夫だよ」
ってソファでそのまま休むのか
すっかり寝入ってるパピーを起こさないように抱えて俺に渡してくるから
「は？俺もここにいるけど」
パピーを受け取ってパピーの寝床に運ぶ。
「え、布団行きなよ」
「……それ、Aが言う？」
Aこそ布団で寝たらいいのに。
ソファでAの隣に座るとAを抱き寄せて
「横になれないならもたれていいし、膝枕がいいなら膝枕するよ」
頭を撫でたら
俺に抱きついてくるAは
「………渉…っ」
ギュッてしがみついてくる。
「甘すぎだよ」
「な。自分でも甘やかしてるなー、って思う」
「そーだよ。ほっときなよ、薬効くまでどうしようもないし時間が経つまで何も出来ないんだから」
Aは言う。
言い方や口調から
構ってちゃんじゃなくて本当にそう思ってるのが伝わる。
だからこそ
「でも、どうしようもないからこそ、傍でこうして居られたらな、って」
弱ってるAの頭を撫で続けた。
「ほら、楽な体勢になりな？少し和らいできたらベッドで寝よ。そんで、明日は休んでゆっくりしな」
「……でも」
「代わりにパピーの面倒見たり、元気だったら掃除しといてくれると嬉しい」
出来れば寝ててほしいけど。
Aの事だからただでは休まないだろう。
最近留守番だけのパピーをAが遊んでくれたら
パピーも喜ぶだろうし家ならAもいつでも休めるから
どっちにとってもいいと思うんだけど。
「……わかった」
弱々しく笑うAは
俺の手を見つけてギュッて握ると
「ありがとう、渉」
小さく言うと
「………ホントはね、一緒に居てくれて嬉しい」
甘えるように俺にスリスリしてくる。
正直、ここまで弱ってるAを見るのが初めてだから
どうしていいか分からない。
Aはハプニングを楽しんでいつも前向きで常に元気で
正式に付き合う前やちょっと前みたいに勘違いしたり拗ねて避けられる事はあっても
こうして弱ってるところを見た事が無い。
いつか、遠い未来Aが消えちゃうのが怖い。
初めて人が居なくなる事を『怖い』って思った。
ギュッてAの手を握り締めて抱き締めたら
Aが俺を見上げて
「……大丈夫。明日には元気になってるから」
自分の方が辛いのに青白い顔で笑ってる。
そんなAが愛しくて。
失いたくなくて。
俺の方がAの傍を離れられずにいた、
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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (
レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした！ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非！ (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：shizu
| 作成日時：2022年9月25日 7時
