すぐ近くにいる another story 11

嘘だらけの婚約者 その後 10 ページ43

ダメだ、ものすごく痛い。
全然動けない。

これか、人より重い痛みって。
確かにめちゃくちゃ痛い。

痛み止め飲んでなかったせいかコレは痛い。
ベッドまで動けないし
寝転がるより丸くなってるのが楽。



渉が心配そうに見てるし
パピーも私の傍から離れないけど。

ごめんね、どっちにも反応出来ないや。



少しして渉が私のそばから離れて
パピーが私のそばで私と同じように丸くなる。


可愛いなぁ、もう。



パピーを撫でて痛みと戦いながらウトウトしてると
シャワーを浴びて戻ってきた渉が

「痛み止め、飲んだ？」

私の隣に来て座る。

「………すきっ腹で飲むと胃が痛くなるから飲んでない」

実は賄いも食べてない。
渉がそれに気づいたのかちょっと眉を寄せてムッとしたけど

「そっか。じゃあちょっと食うか」

ってまだ返事をしてないのにキッチンに向かう。



私が横になってるからいつもより静かに棚を閉じたり冷蔵庫を閉めて
お湯も沸かしてるなーと思ったら少しして

「ほら、湯たんぽ。お腹に乗せな」

タオルに包んで持ってきてくれてさらに

「しょうが湯。これも飲んで」

飲み易い温度で持ってきてくれる。



起き上がって湯たんぽを乗せてしょうが湯を飲んでると
パピーが私の真横に来て丸くなる。

湯たんぽの上にさらにタオルを乗せてパピーを乗せたら

「………重っ」

さすがに少し重いけど
パピーは湯たんぽの上で温かいからそこで丸くなった。



まぁいいか。
パピーを撫でてたら癒されるしお腹痛いのも紛れるし。

そのままにしてたら

「こら、パピー。Aいま大変だから」

パピーを下ろすからパピーが嫌がるけど

「ほら、パピーの分。ここならAも隣だしいいだろ？」

私の真横に追加の湯たんぽとタオルを置いてパピーを乗せたら
パピーは満足そうに私の横で寝る体勢になる。



「ったく、調子悪いのにパピーに気を遣うな」

「でも……」

「さらに具合悪くなったら余計パピーが離れなくなるだろ」



文句を言いながら1度キッチンに戻る渉は
続けて小さな丼ぶりを持って来る。

「はい、少しでも食べて。これで薬飲めるだろ？」

渉は野菜たっぷりのスープを作ってくれた。
しかも私が大好きな

「え、魚河岸揚げ入りだ」

フワフワな魚のすり身のはんぺんまで入ってる。

「これ、好きだろ？」

優しく笑う渉はソファを私とパピーが占拠してるから床に座ってる。



「嬉しい」

「そっか」



正直
私よりも嬉しそうな渉の笑顔が嬉しかった。

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