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嘘だらけの婚約者 その後 9 -side Y- ページ42

俺があまりにも構うからAが呆れてるけど
そのくらい心配だった。

もしかしたら筋腫が悪性の場合だってあるんだし。
ホントは辛いんじゃないの?



そして
その心配は現実となる。



「……なんか顔色悪くね?」



カウンターにいるミツとAと俺の3人で話してた時。
ふとAの顔色が青白いのに気づく。



「え、このライトでよく気づくね、よこーさん」

「まぁね」



暖色系のライトだから確かに分かりにくい。
ミツが言うのに返すと
いつもならAは大丈夫だ、大袈裟だ、って怒るのに

「……うん、ちょっとね」

弱々しく認めるから流石に驚く。



「ラストオーダーになるし、あと注文してきそうなのミツくらいだから先に上がっていーぞ」

「ちょっと、よこーさん。俺はビールの樽が勿体ないから飲むだけでむしろ空気読んでんだけど?」



ミツとやり取りしてても乗って来ないAは

「ありがと、先に帰らせてもらうね」

ニコッて笑うと最低限の片付けをしてバックヤードに消える。



「大丈夫?A」

妹からも話を聞いてるミツはAが入院する事を知ってるから心配して声を掛けてくるけど

「今までは大丈夫だったんだけどね」

今日はさすがに少しやばそう。



出来るだけ早く店仕舞いをして帰ると

「ただいまー」

声を掛けてもAから返事は無く。



代わりにパピーが玄関まで駆け寄ってくると
シェフパンツの裾に噛んでグイグイ引っ張ってくる。

「……どした?」

パピーを抱えるとパピーは俺の腕から飛び出そうとしてるし。



嫌な予感がしてリビングに行くと
ソファでAが丸まってる。



「A?」

声を掛けると反応があるからホッとしたけど

「……おかえり、渉」

弱々しく返すAは少し脂汗をかいてる。



「え、大丈夫か?」

「うん、ただの生理痛」



起き上がるAだけど
本当に辛そうだし
俺の腕から飛び出したパピーは心配そうにAに駆け寄ってAの顔を舐める。

「あはは、パピー、ごめんね。びっくりした?」

パピーの頭をAが撫でるとパピーは嬉しそうに尻尾を振ってるけど
Aから離れようとしない。



「ごめん、大丈夫。これ、筋腫の特徴なだけだから。気にしないで」

「でも……」



ブランケットに丸まって寝ようとするから

「ベッド、行こ」

声を掛けても

「………動けないの、ここで寝る」

泣きそう顔で言うA。



………ほっとける訳、ねーだろ。

俺まで泣きそうになった。

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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

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