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嘘だらけの婚約者 その後 9 ページ41

渉がそんなに悲しい思いをしてるなんて
知らなかった私は

「渉がね、好きなの」

うちに帰ってから何度も言った。

本当に何度も何度も。
玄関でも久しぶりに一緒に入ったお風呂でも
ベッドの中でも。



「もう分かった。ありがと、もう言わなくてもいいよ」

ベッドの中で言った時は
さすがに渉がウザそうにしてるけど

「だって、渉、悲しかったんでしょ?私、全然気づかなかったから」

私の自分勝手な行動で渉を悲しませたのが嫌すぎて
とにかく『好き』を伝え続けた。

めんどくさそうにしてる渉だったけど
満更でもないんだろう。

少しニヤニヤしてるし。



くっついて首元で渉の香りを思い切り吸ってたら

「パピーかよ」

笑いながら言って抱き締めてくれる。



ここから香る渉の香りが好きなの。
落ち着くの。

渉の香りをすごく感じるから。



でもそんなこと渉に言って伝わるか分からないから黙った。

パピーもここ好きなんだ。
だとしたら私もパピーも渉が大好きなんだろうね。

パピーとはつくづく気が合う。

明日はパピーといっぱい遊ぼう。



落ち着いてきたら眠くなってきたし
口を開くよりこのまま眠ってしまいたいから黙ってたら

「………良かった、嫌われたんじゃなくて」

渉が、小さく呟いたから。



あぁ、渉って
本当に私の好きなんだ、って思えたし
えっちなことしたいって思ってたのも求められてる気がして嬉しかった。



そしてそれからの渉は
まぁホントに過保護だった。



お客さんのピークを終えてホッとしてため息をついただけで

「今日は上がるか?」

大騒ぎするから困る。



「大丈夫だよ」

「今日はもうそんなに忙しくないだろうから」

「大丈夫だって!」



何ともないのにな。
仕方ないから無視して片付けでもしようと思って
バックヤードにある少し大きいダンボールを手にしようとしただけで

「ダメ!それは俺が運ぶから」

って、渉が止めてくる。



これの中身はペーパータオルだからめちゃくちゃ軽いのに。
私でも余裕で出来るんだけど。

困ってると

「………ごめん、無理させたくねーの」

私より泣きそうな顔で渉が言うから。



「無理じゃないのに」

言い返しても

「じゃあ、俺がAに荷物持たせたくない、だったらいい?」

腕が私より細い渉が持っちゃうからどっちかと言うとその方が心配。



「………平気なのに」

「分かってる。でも俺が嫌なの」



困った顔で笑う渉に
さすがにイラッとして、またため息をついた。

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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

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