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秘めた想い その後 14 ページ5

やって来たのは
宏光先輩じゃなくて玉森くんだった。



息を切らして何度も謝る玉森くんは

「距離置かれたって、どんだけ離れたって、やっぱり気持ちは変わらない。俺はAが好き。Aが俺の事嫌いになったかもって思ったけど、それでも俺はAが大好き」

私は背中を向けてるから
どんな顔をして玉森くんが言ってるのか分からないけど

「もう二度と、離れるなんて言わせない」

足音がしてるから多分玉森くんは
おうちに上がってきたみたい。



「A」



玉森くんが私の名前を改めて呼ぶ。

その優しい呼び方や声で泣きそうになる。



いいの?

本当に私でいいの?



玉森くんにそばに居ていいの?



「ずっと、これからもずーーっと、今は距離が離れてても心はそばに居て欲しい」



玉森くんがすぐ後ろに居るのが分かる。

振り返っていいのかな。
玉森くんのそばに戻っていいのかな。



顔を上げるとAちゃんと目が合う。

Aちゃんは戸惑う私に優しい顔で頷いてる。



いつの間にか涙が溢れてる。

自分でも分からない。
玉森くんが来てくれて嬉しいのか悲しいのか。



ただ、何度も『好き』って言ってくれるのは嬉しいけと

「玉森くん、他の子と一緒に居るんじゃないの?毎週水曜日に」

あの子と出かけてるから水曜日は居なかったんじゃないの?




「……毎週水曜日は夜間学校通ってた」



玉森くんはすごく言いにくそうに言う。

「夜間学校?」

「うん、資格取ろうとしてて」

その資格の名前を言われて
あー、なるほど。
それは通うかも、と思った。



「え!タマすごいじゃん」

「受かればね?まだ通ってる段階だし」



答える玉森くんは

「ただね、一度だけ快速電車が来るまで飲んだ事はあるよ。でもその1回だけ」

すこし甘えた声で
多分私が勘違いしたり妬いてるのが嬉しいんだろう。

声が少し弾んでる。



ズルい。

私ばっかり玉森くんを好きだ。

玉森くんは私を好きだって言うけど
絶対私の方が『好き』が大きい気がする。



「ね、A、こっち向いて?」



玉森くんが言う。

「顔、見せて?」

少し甘えた声のまま玉森くんが言うけど
私は今泣いてるから振り返りたくないんだけど。



「A」



呼んでくれる声がやっぱり優しいから振り返っちゃうと
玉森くんは声とは裏腹に泣きそうな顔をしていた。



「本当にごめん。俺の所に帰ってきて?」



今にも泣きそうな玉森くんの声が切なくて
玉森くんに思いきり抱きついた。

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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

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