すぐ近くにいる another story 11

嘘だらけの婚約者 その後 5 ページ33

「筋腫がありますね」

人間ドックで子宮を見た時に言われる。



「筋腫？」

って何？
ピンと来ない。



「なんて言うかなー、いらない塊って感じ。悪性の場合、ガンのこともあるよ」

「……え」



ガン？
目の前が真っ暗になる。

けど、『こともある』だもんね、って自分に言い聞かせる。



「ガンかは分からないし、まぁ筋腫取っても子供は産めるけど。ただコレ、筋腫が結構大きくなってるから生理の痛みとか量とか辛かったんじゃない？」

「え、分からないですけど、量は多いかもです……」



夜用でも漏れることあったし。
そもそも生理痛とか生理の量って誰かと比べたりしないからよく分からない。



「んー、詳しく検査してもらって出来るだけ早く取った方がいいよ。紹介状書くから」

「……はい」



まぁここは検査するだけだし。
詳しい事は分からないのか。

だから言われても頷く事しか出来ない。



帰り道にバスで移動中に検索すると
別に子供が出来なくなるとかそういう訳ではないらしい。

ただ、確かに筋腫がガンだった事例はあるみたい。

良性なら大したことないし
子供も産めるって書いてある。

大丈夫、落ち着け。
私はいまめちゃくちゃ食欲もあるし、めちゃくちゃ元気だ。



………でもどうしよう、渉になんて言おう。



家に帰ってもぐるぐる考えてたら
いつの間にか帰っていた渉に

「どした？言い難い結果だったのか？……体重計、買うか？」

って言われて。



あ、太ってたから落ち込んでるって見えたのか。

なんか拍子抜けして。

余計な心配も掛けられないし
とりあえず細かい検査を受けるまでは黙っている事にした。



気にしないようにしてても
何となく気になる。



そんなある日
ミツさんが妹さん家族を連れてお店に来た。

妹さんと弟さんと、姪っ子。
弟さんとは血が繋がってないらしいけどそんな事感じさせない雰囲気で
妹さんと弟さんと一緒のミツさんはとても優しい目をしていた。

姪っ子の朱莉(あかり)ちゃんは本当に可愛くて
水を持ってった私に

「あー」

ニコッて笑う朱莉ちゃん。



ヤバい。

可愛い。



カウンターに戻ると渉が

「癒されるよなぁー」

愛しいものを見る感じで呟くように言う。



びっくりするくらい渉がデレデレして言うからそこで気づいた。

渉、子供好きなんだ。
子供好きかなんて気にしてなかった。



ふと過ぎるお医者さんの『子供も産めるけど』って言葉。




産めないってなったら
渉、どうする？

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