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嘘だらけの婚約者 その後 4 -side Y- ページ32

「ただいま」

帰ってくると迎えてくれたのはパピーだけ。



………おや？



パピーを抱えてリビングに向かうとAは居るけど
ぼーっとしてるみたい。

「A？」

声を掛けたら我に返るAは

「あ、おかえり。ごめん、気づかなかった！」

慌てて笑顔になって

「賄い食べて来たよね。お風呂入ってるよ」

出しっぱなしのコップとかを慌てて洗い出す。



今日はどうやら
いつもと様子が違うA。

確か人間ドック受けに行くとか言ってたけど。



「Aはもうお風呂入ったの？」

見た感じ入って無さそうだけど

「あ、うん、まぁ」

曖昧な返事だけしてこっちを全く見ない。



分かりやすく何かあったのが全面に出てる。



「人間ドックの結果、どーだった？」

聞くと少し黙るAは

「詳しい結果は後日みたい」

ってこっちを見ないで言うから。



………まさか、やっぱり太ってたのか？



パピーがAの足元でじゃれ出したら

「パピーちょっと待っててねー、いま洗い物してるから」

パピーには声をかけるのに俺の方は見なくて。



「なぁ、どーした？」

「ううん、何でもない」

「無くないだろ。こっち見ろ」



黙るAの洗い物をしてる蛇口を止めて手を取ると

「どした？言い難い結果だったのか？」

聞くと少し泣きそうな顔になるから。



やっぱり太ってたのか、と思って

「体重計、買うか？」

そーいやうちに無かったし。
聞くと

「……………へ？」

間抜けな声を出すAは少しフリーズする。



そして次の瞬間、

「あははははははは！」

ものすごく笑い出すからパピーが驚いて俺の後ろに隠れる。



「あはは、ごめんパピー、驚いたよね」



しゃがんでパピーを抱き上げるAは俺を見上げて

「そー、太ってた！だからしばらくダイエットオムライス食べたいなっ」

って笑顔で言うから。



なんか違和感あったけど

「んじゃ、次の休みで体重計買うか。俺も欲しいし」

「うん、電気屋さん行きたい」

「そーしよ」

Aと笑い合うとパピーが嬉しそうにしっぽを振ってAの顔を舐め出して

「パピー、洗い物終わるまで渉に遊んでもらってー」

Aからパピーを渡される。



その時。

パピーはAと離れたがらなくてやたら嫌がるし
俺に抱かれてもずっとパピーがAの方に行きたがるし仕舞いには鳴き出す。

よくある事だけどパピーの様子がおかしくて。




後から思えば
パピーの方が俺よりAを理解してたな。

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