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嘘だらけの婚約者 その後 2 -side Y- ページ28

「入った！！」

「…だから言っただろーが」



指輪を渡した日から1週間ちょい。

目の前には俺が買った指輪をしてニコニコしてるA。

指輪を渡した次の日にオムライスを食べて帰ったらAが生理になって。
終わったら浮腫も取れて薬指にすんなり指輪が入った。

予想通りだよ。全く。



「さすがだね！私の体調を私より理解してるとかすごくない？」

「あれだけブチ切れといてこの態度。俺からしたらAの方がよっぽどすごいと思うぞ？」

「あー、めっちゃ可愛い！この指輪、すごくいいね！」

「………なぁ、聞いてるか？人の話」



指輪をした手を見てものすごくご機嫌なAは

「渉、ありがとう」

やっとお礼を言ってくれる。
ものすごく笑顔で。



「それ一番最初に言えって」

「あー、本当にこれ可愛いっ。渉、センスいいね」

「あれ？Aの耳には俺の声が聞こえないシステム？」



ニコニコしてるAに

「ん」

チェーンを渡す。



「……何？これ」

「ネックレス」

「…………だよね」

「店、手伝ってると指輪出来ないだろ？その間はこれでその指輪下げれたらいいんじゃない？」



指輪とチェーンを交互に見るAは俺を見上げて

「………もしかして食べた？」

謎な質問を真顔で聞いてくる。



「は？」

「冷凍庫の奥に隠した期間限定のイチゴのアイス。もう何処にも売ってないから味が変わるギリギリまで寝かせてるんだけど」



そこまで言われてやっと意味が分かった。

だから俺がご機嫌取りにコレをAに用意したって言いたいんだな？



「返せ」

Aからチェーンを取り上げようとしたら

「冗談っ！渉がそこまで考えてくれるなんて思ってなくて驚いたらついっ」

慌てて避けてAがチェーンを握り締めると手を後ろに回して
取られないように必死になってる。

「知るか！言っていい事と悪い事があるぞ！」

さすがにこのチェーンは
指輪を買う時に普段指輪を付けられない事を話したら店員さんが提案してくれただけで
俺のアイデアじゃない。

とは言え傷つく。



ムスッとする俺にAは抱きついてくるけど

「……何？」

こんなんで機嫌直んないよ。

「………」

少しして黙ったままのAがズズって鼻を啜るから
ようやく泣くほど嬉しかったって分かった。



単純なところも
照れ隠しが下手なところも
全部ひっくるめてAが好きになったから。



ホント、惚れた弱みだよな。

泣き止むまでAを抱き締めた。

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