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嘘だらけの婚約者 その後 1 -side Y- ページ26

Aに指輪を渡した次の日。



営業周りの途中でコーヒーを飲みに来たミツに昨日の事を話したら

「あはははははは!!よこーさん最っ低ーッ!!」

ミツは周りの客が振り返るくらい爆笑する。



Aはミツが紹介した事務のパートで居なくて。
それもあっていまミツに報告したんだけど。

指輪はAとちゃんと婚約したから用意しようとしたのに
指のサイズなんて知らないから聞くのもグダるし
太った、とか言うけどそう見えなかったから9号を用意した。



まさか入らないなんて。

しかもあんなに怒るなんて。
自分で太った、って言ったのに。



多分最近明太子や塩辛食べ過ぎてるし
生理も近いから浮腫んだだけじゃねーの?



「俺が女なら別れてるわー。出て行かれなくて良かったね」

「……時間の問題かもな」

「でもちゃんと指輪持って部屋に立てこもったところがめちゃくちゃAっぽい」



ヒーヒー言いながら泣くほど笑った後でミツは
笑いが収まると

「あー、笑った。………2人が幸せそうで何よりだよ」

俺に向かって優しく笑ってくれる。



「幸せかなー?」

「少なくとも楽しそう。安心した」

「……俺はね。Aは知らないけど」

「あはは、さりげなくノロケてんじゃん」



また笑うミツは

「幸せになりなよ、よこーさん」

コーヒーを飲み干してしみじみ言う。



「まぁAとなら、よこーさんは毎日笑って過ごせるだろーけど」



ミツに言われて最近の生活を振り返ると
確かにAと過ごすのは幸せだ。

毎日笑ってるし
Aのワガママに振り回されたり気遣いに癒されて
笑顔にホッとして。

寝相悪いAが
夜中に寝返り打ってラリアットしてきたとしても
愛しくて仕方ない。



「そうかも」



返すとミツは嬉しそうに笑ってくれて。



入口がカランコロン音を立てて来客を知らせるから

「いらっしゃいませ」

声を掛けると入ってきたのはパートを終えたA。



俺と目が合うと
自分を見てるのがミツと俺だけで周りのお客さんが入口を見てないのを確認してから

あっかんべー

って右目を指で下げて舌を出す。



呆気に取られる俺とミツを尻目にプイッと効果音をつけたくなるくらい顔を背けて
バックヤードに消えるA。



「………っ、子供かよ」

肩を震わせて笑うミツだけど。



「あれがAだよ」

「だな」



ミツと肩を竦め合う。




あー、これは機嫌直るまで相当時間かかるな。

高いバニラアイスでもダメだろうなぁ。

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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

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