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秘めた想い その後 21 -side T- ページ20

Aに会った後は
仕事がひと段落したにも関わらず
その後処理に追われて。

土曜日もお仕事になっちゃった。



あーーー、つまんない。
Aに会いたかったのに。



なんだかんだで次の週末も仕事になって
それが確定した水曜日に会社帰りにものすごく悲しくなって。

Aの声が聞きたくなったから駅から家までの帰り道に電話を掛けてそれを伝えると

『そうなんだ』

Aはものすごくあっさりしてる。



「え、冷たっ」

『そう?…そりゃ寂しいけどいま私には『玉森くん』が居るから』

「俺のところには『A』が居ないんですけどー」

『えぇー?じゃあ玉森くんに『A』を買ってプレゼントするよ』

「俺はいらないよ」



だってペンギンの『A』は
ただ一緒に居てくれるだけで
温かくもないし抱き返してもくれないし笑ってもくれないし
俺を『好き』って言ってもくれないんだよね。



『玉森くん、寂しいの?』

「寂しい」

『どのくらい?』

「んーー、めっっっっちゃくちゃ」

『そっかぁーー』



少し素っ気ない気がする返しをするAは

『じゃあ、次に会える時はいっぱい抱きついちゃおうかな』

って滅多に言ってくれない事を言う。



「あはは、じゃあいっぱい抱きついてもらおっかな」

『うん、ものすごく抱きつくね』

「楽しみにしてるよ」



声を聞いたら会えないのが逆に寂しくなったきたな、と思ってきた。
でもこんな緩い会話も楽しいし
Aの声もやっぱり好きだな、なんて思う。



『玉森くん、もうおうちに着く?』

「うん、もうおうちの下のコンビニの前」

『ん、じゃあそろそろ私も寝るね』

「おやすみー」



電話を切ってため息をつく。

あーあ、やっぱりAに会いたいな。



部屋の前について鍵でドアを開けると明かりが漏れてくる。



あれ?今朝電気消したのに、と思いながらドアを大きく開けると

「おかえりなさい」

目の前にはAが居る。



平日ど真ん中だよ?
普通ならここにAは絶対居るはずがないのに。



「え!!」



驚いて思わず大きな声が出ちゃう俺に

「しーっ、近所迷惑だよ?」

Aはいたずらっぽく笑う。



慌ててドアを閉めて

「何で!?今日水曜日だよ?仕事は!?」

焦る俺に

「……有給溜まってたからお休み取っちゃった」

ニッコリ笑うAは俺に抱きつく。



「約束通りいっぱい抱きつくね」



可愛い声で言うから
予定外に会えたのが嬉しくて
思い切り抱き締めた。

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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

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