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秘めた想い その後 18 ページ13

うちに着いて
シャワーだけ浴びて。

歯を磨いて寝ようとすると電話が鳴ってる音がした。

慌ててスマホを確認すると
着信相手は玉森くんだ。



あぁ、電話掛けたのに何も連絡しなかったから
電話くれたんだね。

ごめんね。



「もしもし」

『あー、やっと出た。3回目なんだけど』

「ごめん、シャワー浴びてた」

『そっか』



玉森くんはどこか冷たい声で

『ねぇA、何か隠してることない?』

淡々と言う。



……玉森くんに隠し事?

会いたいのを我慢してる事かな。


でも

「ないよ」

答えると

『嘘つき』

間髪入れずに返す玉森くん。



ムッとしつつ

「ないものはないもん」

『嘘だね』

「ないってば」

『ある』

玉森くんと言い合いをしてるうちに泣きたくなった。



なんで私、責められてるの?



泣きそうになると

『分かった、じゃあベランダに出て?』

玉森くんは言う。



「ベランダ?」

『うん。……あ、お風呂上がりで髪濡れちゃってない?大丈夫?』

「それはドライヤーした後だから大丈夫だけど」

『ならよかった』



なんでベランダ?

出た所で何もないよ。



でも言われた通りカーテンとベランダへのガラス戸を開けて

「ベランダって出ても向かいの公園しか見えない……」

話しながら外に出ると
玉森くんがジャングルジムの一番上に座って小さく手を振ってる。



『こんばんは』



ペコッて頭を下げて玉森くんが挨拶してるのが見える。



さすがに夜遅くて玉森くんの電話の声は小声だし
ちょっと離れてるから玉森くんの地声までは聞こえない。

でも色白の顔が公園の明かりと月明かりに照らされて
玉森くんが笑顔なのが見える。



本当に玉森くんだ。
驚いて、何も言えない私に

『ほらね、A隠してる』

玉森くんは言うと

『本当は寂しくてめちゃくちゃ泣きたいのに、我慢してるでしょ?』

ニコニコしながら言うから。



「……平気だもん」

強がって言うと

『あ、そう?じゃあこのまま帰るね』

玉森くんがジャングルジムを降りるから

「やだっ!」

咄嗟に大きな声が出ちゃうと
玉森くんは『しーーっ』って口に指を当てて私を見て微笑む。



『待ってて、今からそっち行くね』



ジャングルジムを降りてから
下に置いてた何だか大きな荷物を抱えて手を振る玉森くんは電話を切って歩き出す。



いてもたっても居られなくなった私は
玄関を飛び出してエレベーターに向かって。



降りてきた玉森くんに思い切り抱きついた。

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深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

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