この想いの結末は 10

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Aside



水族館は
平日の夕方なのもありガラガラだった。

さすがにこの前みたく貸切ではなかったけど
十分ゆっくり見れるし薄暗くて人も疎らだから
太輔がバレそうな感じではない。



アコちゃんと武田さんは先に行ってしまって
ゆっくり太輔と見て回ってると
太輔が私を見てるのに気づく。

見つめ返すと

「…ん？」

太輔が優しく声を掛けてくる。



甘い声掛けに
キュンとしちゃうけど

「太輔が見てるから」

言い返すと太輔が笑って

「可愛いな、と思って」

優しい顔のまま太輔が言う。



何それ。

恥ずかしくて顔が赤くなるのを感じると
太輔は笑いそうになってる。



さすがに気づいた。

「…からかってるでしょ」

「………ん？」

太輔がイタズラっぽく笑う。



もう！やっぱり！！



ポンポン太輔の腕を叩くと

「ふふふ…やっぱ可愛い」

太輔は笑って頭を撫でてくる。



何それ。
子供扱いして。

ムッとしたからプイッて顔を逸らすと
手をギュッと握ってくる太輔。



「…こっち向いて？」



太輔が耳元で大好きなイケボで言うから振り返ると
笑いを堪えてる太輔が私を見てる。

予想通りのリアクションだったんだろう。
太輔が笑い出す。



……またからかわれた。

泣きそうになって太輔の手を振り払うと

「……ごめん」

太輔は私を抱き締める。



周りの人から死角になってるけど
外で抱き締められるとかダメだから。

振りほどこうとしたけどビクともしない。



「大声出すよ？」

「いいよ、塞ぐから」



太輔は身を屈めると唇を重ねてくる。



だから、外だってば。

離れたいから太輔の胸を押すけど
太輔はさらに私を抱き締める。



舌まで入ってきて唇に太輔の舌が触れるとビクッて反応しちゃって。

舌が絡みあって溶けちゃいそうになったところで
やっと太輔の唇が離れる。



もう！
何してるのっ！？



怒らなきゃなのに気持ち良くて
ゆっくり目を開けると太輔が悲しそうなどこか泣きそうな顔で
心配そうに私を見ていた。



その目を見てたら
怒らなきゃいけないのに怒れなくなって

「…どうしたの？」

聞いちゃうと太輔がびっくりして私を見る。



「何が？」

「太輔、いますごい顔してるよ？」



自覚が無かったみたいで
私の言葉にびっくりしている太輔は

「……うん」

悲しそうに笑った。



さすがに察する。

さっきの写真の事が太輔をこんな顔にさせて
私が怒ってないか気を遣ってるんだ。




こんな顔をさせてごめんね？

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