この想いの結末は 10

after そしてそれから 40 ページ13

Aside



太輔が見た事ないような
呆気に取られた顔で私を見ている。



あぁ、なるほど。

さっきから太輔が嬉しそうな顔はしてるけど
心から笑ってなかった理由はコレか。



太輔は私がアコちゃん達を見て
羨ましいって思ってないか心配してたんだ。

それでさっきから不安そうな顔をしてたんだね。

それならちゃんと話さないと。
だから太輔にキチンと向き直る。



「私ね、まだまだやりたい事、たくさんあるの。せっかく店長になれるし1からお店作り考えたり、太輔みたいに爪の手入れに興味もつ男の人増やしたいって思ってるの」



まだ太輔には話してなかったもんね。

太輔は驚いた顔をしてる。



「男性専用のネイルサロンとか、ネイルケアに特化したお店とか。男性の入りやすいお店考えてみたいなぁとか、出張ネイルサロンとかも考えたくて。爪がキレイになるだけでテンション上がる気持ち、いろんな人に知ってもらいたいの」



でもそんなのまだ夢物語みたいな話だとも思う。

不景気になったらネイルケアって一番に削られちゃう贅沢だとも思うから。



「まだ勉強する事沢山あるの。お店の経営とか、費用とか、爪を傷めないネイルとか。だからいま結婚とか全然考えてなくて。いま誰に結婚しようって言われても断らないとだから…」



そこまで言うと

「誰かに言われる可能性あるの？」

太輔の眉間にシワが寄る。



そんな訳ないじゃん。



「ないよ。今はネイルの事で頭がいっぱいだし」



新店の運営に少し携われてるから
それを考えるのにいっぱいいっぱい。



でもね

「だから、太輔の事がまだ仕事の次になっちゃうから。それじゃ太輔を支えられないから、まだ結婚なんて無理だな、って思うの」

私が2つの事を同時に出来るほど器用じゃない事は自分が一番理解してる。



正直、仕事に余裕が出来る日が来るかなんて
全く分からない。

そのくらい、仕事に集中しちゃうと何も出来ないし
そこらじゅうで電池切れ起こしてまたお風呂やトイレで寝ちゃうと思う。



太輔がこの先結婚出来る、ってなった時に
逆に私が結婚出来る状態なのかなんて全く分からないけど。



「でもいつか、誰かのお嫁さんになれるっていう時がきたらその時は…」



太輔がいいな。

言いたいけどそんな大それたことを私から言っていいのかな。



言葉に詰まって太輔を見上げると

「………」

太輔は優しく笑って
黙ったままギュッと私を抱き締めてくれた。

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