この想いの結末は 10

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Aside



「ねぇ、A」



太輔が声を掛けてくるけど
私は無言のまま。

「…俺との事ならマネージャーのスマホが世界一安心だって」

太輔が一生懸命話してくるけど
私は無言を貫く。



だって、ダメだよ。
太輔とのツーショットなんて。

武田さんもアコちゃんも楽しそうに笑ってけど
全然笑えない。

何考えてるんだろう。



「ほら、こんなに離れてるよ？」



太輔から顔も逸らしてる私に
太輔が私の視界に自分のスマホを無理やり入れて写真を見せてくる。



確かに距離は離れてる。

アコちゃんと武田さんの分。

写真には私と太輔しかいないとはいえ
これツーショット？って感じではある。



それよりも

「……なんで太輔がこの写真持ってるの？」

それが疑問だよ。



やっと口をきいた私に太輔が

「俺の事なんだから世界で2番目にこのスマホ安全だもんね」

イタズラっぽい顔で少し悪巧みをしてるような声で言って全く悪びれず微笑む。



あ、太輔の笑顔だ、
この楽しそうな笑顔好きだな、なんて思ったのは一瞬。



そうじゃなかった！
笑顔に騙されるところだった！！

「ダメだよ！」

スマホを取り上げようとしたけどヒョイッとかわす太輔は

「なんで？初めて撮った2人の写真だよ？」

嬉しそうに、そして楽しそうに笑ってる。



一生懸命太輔からスマホを取り上げようとすると

「何でそんなにダメなの？」

スマホを取り上げようとする私の手を取って太輔が聞いてくる。



「当たり前じゃん！ダメでしょ、写真撮るとか。私と太輔の証拠なんて残しちゃダメだって！」



いつ誰が情報流出するか分からないのに。
武田さんのスマホや太輔のスマホをいつ誰が見るか分からないよ！



なのに

「………」

太輔は不満そうに、どこか悲しそうに私を見る。



「Aは俺との事、そんなに残したくないの？」

太輔は悲しそうに聞いてくる。



『何も』って言われるとまた違うし
私がこの後太輔に渡すものを考えると言い難い。



「太輔のそばに居られなくなる原因が少しでも増えるのが嫌なの」



ただそれだけなのに。




太輔は私に近づいて愛しそうにの頬を触ると

「……でもこの写真、絶対消さないからね」

まっすぐ私を見て言う太輔。

何も言えない私にちゅ、と音を立てて
触れてない方の頬にキスをする。



私も本当は欲しいよ。

その写真。



でもその『欲しい』っていう一時的な感情で
太輔を失う時が来たらって思うと欲しいなんて言えない。

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