すぐ近くにいる another story 7

シロツメクサ Ki -side K- 47 ページ46

Aと遊んで
久しぶりにはしゃいで
ものすごく笑って
Aも元気になったのが分かった。



良かった良かった。



そして
Aさんにもお土産を買う。

遊園地のゆるキャラのクッキー。



「宏光先輩、そーゆーの買うんだ」

「んー？お世話になってるご近所さんにね」

「えー、だったらこういうのの方が良くない？」

Aはガチな銘菓を選ぶけど

「こっちの方が可愛いじゃん？」

しかもこのゆるキャラがペンギンなんだよ。
めちゃくちゃ可愛いっつの。



Aちゃんの夢とか見たから
昔Aちゃんから貰ったキーホルダー思い出しちゃって
なんとなくペンギンに目が行ったっつーのも事実。



Aを車で送って帰ってから
今日は日曜日だからAさんも早く帰ってくるかな、なんてソワソワしてるけど。

夜中になっても帰って来なくて。

むしろ朝になっても帰って来なかった。



仮眠だけ取った状態で出勤して
眠いから早めに帰ったけど
Aさんは一度帰ってきたのか郵便受けは空で
既に出かけた後っぽい。



……えー。



それから毎日
ずーっとAさんが帰ってくるのを待ったけど
全然帰って来なかった。

郵便受けが溜まってる様子がないから
たまに帰って来てるんだろうけど。



「……避けられてるね」



久しぶりの同期飲み。

目の下にクマできまくりの俺を
同期のAが飲みに誘ってくれたけど。

正直、飲みより寝たい。

そして話を聞いてくれたAは
気持ちいいくらいスパッと俺が気にしてる事を言う。



「理由分かんねーよ」

「えー、だって私なら嫌だよ。添い寝だけの関係とか」

「それはAだからだろ？俺と彼女は利害一致してんの」

「そう思ってんのは北山だけかもよ？」



Aの言う事がド正論過ぎて
グサグサくる。



「それか、その彼女に好きな人出来たんじゃない？」



さらに残酷な事を言うAは
自分は幸せだからか何だか余裕で。

俺は俺で少し飲んだだけで
最近の寝不足が祟ってものすごく眠くなる。



「…いいよなー、Aは幸せそーで」

「うん、私は北山のおかげで幸せだよ」



嬉しそうに笑うA。

見た事ない幸せそーな顔。

こんな顔にさせたのは
二階堂の力なんだろーな。



いいよなー、何だかみんな幸せそーで。

玉森さんの事が好きなAだって
何だかんだ言いながら
結局両思いなんだからさ。

ちょっと頑張れば幸せになれんのに。



何で俺の近くには
Aさんが居ないんだろ。

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