すぐ近くにいる another story 7

シロツメクサ Ki -side K- 38 ページ37

結局
買ってきた飲み物だけじゃ
足りなくなって
Aさんのお酒を飲み始める。



だいぶ深酒になってきた頃
今日のAとよこーさんの話になる。



「多分ねー、もう恋って感情欠落してんの」



譲れない思いって今までない。

小さい時の好きでも不可抗力で離れなきゃいけない思いを知った時から
別れる『いつか』を想像しちゃう。



どんなに好きでも
自分ではどうしようもない何かに引き裂かれる時があるって知ったら
好きな人なんて作りたくないって思う。



「後輩と同期が付き合いだした時も今も思ったより悲しくないし、後輩やよこーさんが幸せで、相手の子が幸せで良かったって思っちゃう」

二階堂やよこーさんのジャマも出来ない。
同期のAやAが俺と一緒にいるより幸せだろーな。



俺には幸せにしたい、とか
一緒にいたい、とか
思える人って現れないのかな。



笑っちゃうと

「じゃあ何で、そんなに寂しそうなの？」

Aさんが言う。



「寂しいなら寂しいでいいのに何で笑うの？」



そう言われて
確かに笑うのはおかしいのかな、って思う。



だから

「多分、何で俺にはそんな人が現れないのなって思ってるんだよね。フラれた時ってさ、どこか悲しくも悔しくないの。ずーーっと。寂しいだけで」

素直にAさんに伝えた。
それを伝えたらなんか全部言っちゃえ、と思った。

「ただただ1人が寂しいだけで。誰でもいいんだよ正直」

ゲスな発言かもしれないけど。
『初めて』の感想だって全然心は動かなかったし。



「結局、恋してないんだよね」

Aさんが言う。

「そー、それ」

それなんだよ。



だから、二階堂にもよこーさんにも
協力しちゃおうって思える。



「人のぬくもりとかは欲してるんだけど、別にえっちなこととかどーでもいいし。人の温もりだけ感じたいなー、くらい」



最低だろ？俺。



Aさんからもう俺と過ごすの
辞めようって思ってもらえたら楽かもって思った。

さっきドキドキした気持ちも
消えてくれたらって。



なのにAさんは

「あーそれ分かるなー」

まさかの発言。



Aさんは俺が寂しそうで気を遣ってるだけだろ？
ただ合わせてくれてるだけだろ？



彼氏でもない俺にすっぴんも見せて何なの？

この話の流れで襲われてもおかしくねーんだよ？



だから言ってみた。

「…じゃあさ、一緒に寝て寝ない？」

断ってくれ、と思ったけど。
Aさんはまっすぐ俺を見て言う。



「…いいよ」

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