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シロツメクサ Ki -side K- 3 ページ2

うちには
父親がいない。

それに気づいたのも
この頃だった。



後から聞くと
俺の父親はAが生まれてすぐに仕事中の事故で亡くなったらしい。

さすがに記憶が無かった。



でも俺にはかーちゃんとAが居たし
全然寂しくなかった。



ただ、たまにうちに来る男の人がいた。

サッカーを一緒にやってくれるから
『サッカーのおじさん』って呼んでいた。

Aの事も可愛がってくれて
いつも高い高いをしてくれていた。



ダメな時はダメってちゃんと怒ってくれて
俺が何かを出来た時はものすごく褒めてくれる。

リフティングが
5回連続で出来ただけでも大騒ぎ。



きっと『とーちゃん』ってこういう人なんだろう。

漠然と思っていた。



だからある日

「サッカーのおじさんが『とーちゃん』だったらいいのになぁ」

って言ったらかーちゃんもおじさんも
びっくりして俺を見た。



のちにこの俺の一言がきっかけで
再婚を意識したってかーちゃんから聞いた。



かーちゃんは『とーちゃん』とその奥さんと
4人でずっと友達だったらしい。

後から知ったんだけど
『とーちゃん』は奥さんを
子供が産まれてすぐに病気で亡くしたそうだ。

それから『とーちゃん』は男手ひとつで
のちに弟になる太輔を育てていたらしい。



「宏光は、俺が『とーちゃん』になったら嬉しい?」

ある日聞かれたから

「うんっ!」

頷くと、何だかおじさんもかーちゃんも泣きそうな顔をしていた。



「じゃあ、家族になろっか」

かーちゃんが言う。



家族か。

おじさんとなら、
ううん、とーちゃんとなら大丈夫な気がする。



そして紹介された太輔。
大人しくて優しそうな弟。

とーちゃんにそっくりでイケメンで
握手すると俺よりちょっと小さい手をギュッてしてニコッて笑ってくれて。

一瞬で太輔の事が好きになった。



Aも大事だけど
太輔も大事にしていこうって思った。



こうしてこの日から俺たちは5人家族になった。



そしてかーちゃんから告げられる。

「宏光、引っ越すことになるから。これからおうちのお片付けしよう」

「…引越し?」

なに?それ。



「おうちが変わるの」

「へー」

「今度はお父さんと太輔と、一緒に住むの」

「へー!!」



そうなんだ!

うちにとーちゃんと太輔が来るんじゃなくて
とーちゃんたちのうちに俺たちが行くんだ。



幼稚園までどのくらいかかるの?
って聞こうとしたらかーちゃんが言う。



「だから、幼稚園も変わるよ」

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shizu(プロフ) - ななこさん» コメントありがとうございます!伏線の回収に必死になってます(笑) そして早く各ストーリーの「その後」を書きたいので最近更新しております。また読みに来て下さいませ! (2021年3月1日 23時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - すぐ近くにいるいつも読ませて頂いてます!!ここまで読んできて、過去のお話に全部繋がってるのがすごくてめちゃくちゃ楽しいです!!!これからも更新楽しみにしています! (2021年3月1日 21時) (レス) id: 6f285e02f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年2月21日 18時

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