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シロツメクサ Ki 23 ページ46

確かに大口のお客様だった。
ものすごく高いお酒を
いくつか入れてくれた。

会話のレベルも高いし
お酒も強い。

小夜子ママが私を指名したのも納得だった。



ただ、小林さんが大口の方で
北山さんは連れて来られた様子。

そして北山さんは明らかに
こういう場に慣れてる。

さすが営業。



少ししてトイレチェックで席を外して
チェックを終えて席に戻ろうとしたら
目の前には北山さん。

寝起きの時並に不機嫌な顔。



「…久しぶり」



北山さんから話しかけてくる。



「うん」

「まさかこんな所で会うなんてね」

「うん」

「ここ、家より離れてんのにね」

「だね」



顔が見れない。

声色から北山さんが機嫌悪いのが分かる。



「…何で帰って来てないわけ?」

北山さんが小声で鋭く言う。



怒ってる。

何で?怒ることないはずなのに。



「さっきママが言ってたでしょ?資格取ってるの」

最近私が資格を取ってる事を
小夜子ママが話してくれていた。



「仕事の後で勉強してるの?」

「うん」

「休みの日も?」

「そう」



少し沈黙する。



「…今日は帰って来てよ。話したい」



それだけ言うと
私に拒否権を与えないようにトイレに向かう北山さん。



さすがにこれ以上ここに居たら
時間かかりすぎだ。

席に戻って、少しすると北山さんも戻ってきて。



お互い初めて会ったフリを貫いて
接客を終えて見送る。



帰る間際、北山さんと目が合う。

目線だけで『約束したからね』て言われてる気がした。



タクシーを見送った時に
さすがに覚悟を決めた。



今日は帰ろう。



仕事を終えてマンションに戻ると
入口に人影。



あれ?
北山さん、まさかこんな所で待ってる?



と思ったら、菊池様だった。



………え?

ヤバい、ひとまず逃げよう。



振り返ろうとしたら菊池様が顔を上げちゃう。

「おかえり、ヒロちゃん」

菊池様が微笑む。



「ずーっと待ってたよ」

ニヤニヤ笑いながら近づいてくる。



何で?さすがに怖い。

後ずさりする。



夜中だし大声は出せない。

せめて広い通りまで出られたら大声も出せる。



走ろうとしたら

「ヒロ?」

後ろから声がする。



振り返るとスエットの北山さんが
コンビニの袋を下げている。



「おかえりー、どした?」

にこやかに近づいてくる北山さんは菊池様に

「うちのに、何か用ですか?」

営業スマイルのまま問う。



『うちの』がフリだって分かるけど嬉しくて
ときめいてしまった。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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