検索窓
今日:40 hit、昨日:26 hit、合計:88,342 hit

シロツメクサ Ki 20 ページ43

北山さんの提案は
とんでもなかった。

でも今日は正直疲れてたし
人のぬくもりを感じて
何も考えずに眠りたかった。



小さい頃
悪い夢を見た時に母親と一緒に寝たように。



北山さんが先にベッドに横になり
私がその隣に寝転がる。

「…全然抵抗ないわけ?」

「それ、誘った北山さんが言う?」

「……確かに」

クスクス笑う北山さんは
体の向きを変えて私を抱き締めた。



さすがにドキッとした。



「うわー……」

ギュッてしがみつくように私を抱き締める北山さんは

「やべー、幸せかも」

体に入れた力とは反対に気を抜いた抜いた口調で呟いた。



「Aさん、抱き心地いいわー」

「…そう?」



それを言うなら私も抱かれ心地がいい。



ただ、私たちは

「北山さん」「Aさん」の関係。

ここに愛は無くあるのは情だけだ。



体の向きを変えて北山さんに寄り添ってみた。



「……ん」



北山さんから頭を撫でられる。



感じた事の無い感覚だった。

落ち着いて
沼みたいに引きずり込まれそうで
もっともっと寄り添いたくて。



癒される。



溶け合ってひとつになれればいいのに。

なんて思うくらい心地いい。



「Aさん」

「…ん?」

「今後たまに一緒に寝るのってどーっすか?いわゆるソフレってやつ」



ソフレ?

添い寝フレンドってやつか。



それはさすがに微妙でしょ、って答えようとしたのに

「あー、無理」

私が返事をする前に呟いた北山さんは

「すごい、寝そう、今すぐ」

その言葉を最後に寝息を立てた。



え、早っ。



規則正しい寝息を立てる北山さんは
すごく気持ち良さそう。



確かにコレはいい。



でもソフレは
さすがにマズくない?



目を閉じて北山さんの香りを吸う。

柔軟剤の優しい香り。



あぁ、いいな。



体が溶けてこのままでいれたらいいのに。

ずっと、このまま………。



……………。



「Aさん?」



北山さんの声と私のスマホが鳴ってる。



目を開けると北山さんのドアップ。

「…はよ」

声を掛けられて我に返る。



「ごめんなさい、起こしちゃった」

慌ててスマホを止めると13時。
私の起床時間。

「んーん、昼まで寝るとか久しぶりでびっくりした」

あくびをして伸びをする北山さんは
ギュッて、私を抱き締めた。



え。

抱き締められてる?私。



「どう?ソフレ」



耳元で北山さんが囁く。

それが気持ちよくて答えた。



「いいよ」



後悔するって、分かってたけど。

シロツメクサ Ki 21→←シロツメクサ Ki 19



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (168 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
396人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。