シロツメクサ Ki 18 ページ41
約束したのはその時だけで
後はやっぱり北山さんから誘われる。
そもそも私たちに約束は
あまり必要ない。
家は隣同士だし
お互い連絡先の交換だってしていない。
話題はありきたりな話題しかしない。
北山さんの営業範囲に私のお店があるらしく
その辺りの美味しいお店の情報交換や
手土産情報やトレンドの話が中心。
家族の話はうちでご飯を食べた時以降
プライベートな話はしていなかった。
せいぜい同年代あるあるの話くらいで
お互いあまり干渉しない、というのが
なんとなくいつの間にかルールになっていた。
今日は仕事が早く終わった。
あまり良くないお客様で
触ってきたり
家はどこなの？とか
アフター行こうとか。
2番手のエリちゃんが
「いいなー、ヒロさん行ってくればいいのにー」
なんて適当な事を言うからその人も調子に乗ってものすごく面倒だった。
むしゃくしゃするから
今日はお酒でも飲もう！ってコンビニに寄ると
北山さんがぼーっとビールを眺めてる。
「…北山さん？」
声をかけるとハッと我に返って私を見て
「あぁ、Aさんか」
笑う。
「買わないんですか？」
「んー、どうしようかなーって」
「そうなんですね」
もしかして
考え事してたのかな。
申し訳ないことしちゃった。
酎ハイのストロングのロング缶を手にして
「じゃあ」
行こうとしたら
「アハハ、今からそれ飲むの？」
北山さんが笑う。
でもその笑った顔が何だか寂しそうで。
もしかして何かあったのかな、って思う。
「飲むんですけど、北山さんも飲みます？」
話くらい聞けたらなー、なんて思う。
私もむしゃくしゃしてたし気分転換したかった。
時計を見ると日付変わる前だし
今日は金曜日だから明日は北山さんも休みだろう。
「え？一緒に飲んでいいの？」
「…あ」
そっか。
どこで飲むつもりだったの？私。
「正直めっちゃ助かる。いまうち修羅場でさ」
「修羅場？」
「よこーさんたちが来てて話してんの」
横尾さん『たち』っていうことは
北山さんが気になってる彼女もいるんだろう。
「時間潰しも飽きちゃったからさー、困ってたんだよね」
なんて言ってると北山さんのスマホが鳴る。
「あーい、………ん、そか。分かった。んじゃ戻るねー」
スマホを切った北山さんは
「うまくいったっぽい」
ニコッて笑う。
……無理して笑ってるのかな。
なら
「じゃあお祝いで飲みますか」
北山さんの分も酎ハイを手にした。
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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます！気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (
レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：shizu
| 作成日時：2021年1月28日 12時
