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シロツメクサ Ki 14 ページ37

「おじゃましまーす」

北山さんとうちに帰る。

この家に男の人が入るのは初めてだから
何だか緊張する。



私の家のリビングにはソファもない。
大きなクッション2つがソファの代わり。

壁にプロジェクターで投影する形で
テレビやサブスクを見れるようにしている。

そして床にテーブルが1つ。
あとは本や雑誌や新聞を置くくらいしかないリビング。

女の子らしくない。
そうは思われそうだな。



でも

「いいね」

北山さんは言う。



「何が?」

「ごちゃごちゃしてなくてシンプルで」

ニッて笑うと北山さんは買ってきたお弁当をテーブルに置く。



クッションじゃなくて床に座るから

「床、痛いでしょ?クッション使って。カバーも洗濯したところだし」

声を掛けたけど

「んー、いいよここで。それよりコレ触っていい?」

プロジェクターをいじりだす。



「へー。いいね、コレ」

「そう?」

「オシャレ過ぎてびっくりした」



そして北山さんは棚に目を向けると

「え!すご!経済誌ばっかじゃん」

雑誌を手にしたりするから何だか恥ずかしくて。



「仕事柄勉強してないとお客様と会話出来ないからね」

バタバタ大きめに音を立てて忙しいフリをすると

「…そうかー」

北山さんはそれ以上聞かずに
またプロジェクターに目を向けてる。



「うわー!アマプラ見れるじゃん」

「見たい映画あればご自由にどうぞ」

「やった!」



北山さんに提案して気づく。



…映画見出したら2時間帰らないじゃん。

失敗した、と思いながら
しじみ汁を作って北山さんの前に置く。



「わーっ、ありがとー」

「いいえー」

「食べよ食べよーっ」



ほか弁を広げる北山さんは
すごく幸せそう。



「「いただきます」」



ご飯を食べながら北山さんが選んだ映画を見る。

家族のハートフルな映画だった。



…家族か。

いいな、幸せそうで。



泣きそうになるのを必死で堪える。



「あぁーいいな。何かホッコリするね」

見終わった北山さんは幸せそう。



「うち、ちょっと複雑で。親同士が再婚して俺と母親と妹は血が繋がってて、弟とは血が繋がってないの」

「へー」

「で、母親の家族が女ばっかりだから俺はばーちゃんの養子になって俺だけ苗字違うんだよね」

「え、そうなんだ」



確かにそれは複雑。



「で、妹と弟がちょっと前に結婚して…」

「は?」



まだあるの!?



「今度子供が生まれるの」

「へー!」



すごいな。

思った以上に複雑だ。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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