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シロツメクサ Ki 12 ページ35

「ありがとうございました!」

例の女の子の店員さんに
笑顔で見送られる。



「また来るねー」

北山さんが言うけど

「またお越しください」

彼女は私にだけ言う。



「ちょっと!!」

「ミツさんはお願いしなくても勝手に来るから」

「ひでーな」



仲良さそうな2人。

でもお店に居て見てれば分かる。
彼女は店長さんが好きだ。

目線や表情が北山さんに向けるものと違う。

さすがに分かる。



「また来ます、おやすみなさい」

社交辞令って分からないように気をつけながら言うと

「はい!是非!!」

その子が嬉しそうに笑う。



可愛らしいな。
お世辞抜きで思う。



見送られて北山さんと歩き出してしばらくすると

「ここねー、ランチも美味しいの。良かったらまた行ってみて」

北山さんが言う。



「うん」

「今度またタイミング合えば行こうよ」



北山さんに言われてハッとする。



そういえば結局
北山さんちにいた女の子はいいのかな。

私って北山さんとご飯に行っていい関係なの?

あれ?でもいま北山さんが好きなのは
さっきの店員さん?



グルグル考え出したら返事をしそびれる。



北山さんがそんな私に気づいて

「あ、もしかしてAさん本当はご飯とか誘っちゃマズかった?」

ヤバい、って顔をする。



「いえ、私は全然っ!」



慌てて否定するとつい口が滑って私『は』とか言っちゃう。
まるで北山さんはダメじゃないの?って言ってるのと同じじゃん。

休みだと会話にどうも気が抜けちゃう。



「あぁ、なら良かった」



ホッとして嬉しそうに笑う北山さんは
私の失言に気づいていないみたい。



いや、こちらこそ良かった、ですよ。



「この辺は焼肉屋さんしか知らなかったから良かった」

「あー、あの駅に行く途中の焼肉屋さん?」

「そうそう」

「あそこ美味いよねー」



誤魔化せてるらしい。
危ない危ない。



「割り勘だけどさ、良かったらまたご飯行こうよ」



そう言う北山さんの目が
なんだか悲しげで。



最近同僚や後輩とご飯行けなくなって
好きになった人にも両思いの人がいて
彼女らしき人も来なくなっちゃった北山さんは
いま本当は寂しいのかな。



寂しいのは私も一緒だから

「そうだね」

頷いた。



会計はほぼ割り勘だった。
気持ち北山さんが多く出してくれたくらい。

気を遣わないところも楽だったし
北山さんとの会話はさすが営業だけあって楽しくて。



家の前で別れるまで
ドキドキが止まらなかった。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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