検索窓
今日:35 hit、昨日:26 hit、合計:88,337 hit

シロツメクサ Ki 10 ページ33

準備ができる頃

ピンポーン

チャイムの音がする。



ドアスコープを覗くと
上下スエットの北山さんがいる。



ドアを開けると

「…どうも」

小さい声の北山さん。



スーツを脱ぐと途端に幼くなる北山さんは何だか申し訳なさそうで
強引に呼んだこちらが逆に申し訳ない。



「ごめんなさい。つい勢いで引っ張ったり、色々命令したり」

まず謝ると

「あはは、命令って!…いえ、全然」

北山さんは多少酔いがさめてるのか
何だかさっきのホワホワした感じが無くなってる。



ならいらないかな。
でもせっかく作ったし。

「ちょっと待っててください」

北山さんに声をかけて急いでキッチンに戻ると
作っていたものを小鍋ごと北山さんに渡す。



「これ、しじみ汁です。お口に合うか分からないけど」

「へ?」

「酔い覚ましにいいんで。明日仕事なんですよね?これ飲んで下さい」



聞き返されると恥ずかしいんだけど。
早く受け取ってくれないかな。
それかいっそ断ってくれないかな、と思いながら渡すと

「…ありがとう。ちょっと小腹空いてた」

ものすごく笑顔になる北山さん。



「少し多めに作ったから明日の朝はこれにご飯入れて雑炊にするといいと思います」

「え!まじで!」

北山さんは嬉しそうに鍋を受け取ってくれた。



良かった。



そして北山さんは

「今度、お礼させてください」

またニコッて笑うから

「いえ、仕事柄常備してあるだけなんでお構いなく」

お断りするんだけど。



「お礼しますからっ!それじゃ!」



強引に話を畳まれて北山さんは帰っていく。



そして次の日の夜。

ピンポーン

チャイムが鳴ってドアスコープを覗くと北山さんが居る。



ドアを開けると

「こんばんは。昨日はありがとうございました」

昨日渡した鍋の中にチョコンと
行列が出来る有名なお菓子屋さんの袋に入った話題のお菓子が入っている。



「…北山さんってお菓子のセンスいいですよね」

引越しの挨拶の時といい、男の人が普通知らないお店のお菓子なんだけど。
やっぱり彼女の影響かな。

「営業やってるんで。こーいうの詳しいんですよ」

北山さんは笑うけど。



本当にそれだけ?

つい勘ぐってしまう。



「…ちなみにAさん、今日お休みですか?」

「はい」

「夕飯は…」

「これからですけど」



なんだろう?と思ってると

「良かったら、夕飯食べに行きませんか?」

北山さんからまさかのお誘い。




…何で??

シロツメクサ Ki 11→←シロツメクサ Ki 9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (168 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
396人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。