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妹。F -side you- 32 ページ4

ある日実習を終えて
その後のレポートを纏めてたら
22時を回る。

優秀な唯ちゃんと秋山くんは
帰った後で
私と永瀬くんが残っていた。



「終わったー」

パソコンを閉じると

「え!ホンマ?あと5分待ってよ」

永瀬くんが慌ててる。



「もう帰らないと兄が心配するんだけどー…」

「5分!いや、3分待って!!」



猛スピードでパソコンを打つ永瀬くんを横目に
とりあえずたい兄に連絡を、と思って携帯を手にすると画面が真っ暗。



……あれ?

「うそ!電池切れてる!!」

「え?」

どのボタンを押しても反応しない携帯を手に
途方に暮れる。



「……どうしよう」



充電器なんて持ち歩いてないし
今日に限ってバッテリーも持ってないからたい兄に連絡取れないよ。
心配してるよね、もう22時過ぎてるし。

おうちに電話ないし
たい兄の電話番号覚えてないし。



「送ったるよ」

パソコンを閉じながら永瀬くんが言ってくれるけど

「大丈夫だよ、1人で帰れるし」

少し夜道怖いけど何とかなるはず。



「ええから、遠慮すんなって」

「大丈夫だってば」



たい兄心配してるかな。
駅まで来てくれてないかな。



「遠回りになるし明日も実習だから1人で帰るよ」

「こんな時間に1人で帰すとか無理やて」

「大丈夫だって!」

「あかん!」



言い合いになるけど
とりあえず早く帰りたいから仕方なく送ってもらう。

家の近所に着く頃に
実家の電話はわかるからママに電話してもらえば良かったって気づく。

あー、失敗した。

これからはたい兄の電話番号覚えておこう。



「ねぇ、Aちゃん」

「なにー?」

「今度さ、2人で出かけへん?」



家に着く手前、ふと永瀬くんが言う。



………え?

永瀬くんが立ち止まるから私も立ち止まる。



「4人じゃなくてさ、2人で」



真剣な顔の永瀬くんに
さすがにどういう意味かわかる。



「ううん、出かけない」

だからキッパリ断った。



「…………だめ?」

「うん、4人でしか会えない」



私も真剣な顔で言うと
じっと私を見る永瀬くんはフッと顔をやわらかくした。

「そか」

「うん」

直接言われた訳じゃないから
失礼な気がして『ごめんね』とは言わなかった。



多分これで永瀬くんは分かってくれただろう。



「他に好きな奴おるん?」



永瀬くんに言われて浮かんだのは
やっぱりたい兄だけだ。



「うん」



たい兄しか好きじゃないし
きっとたい兄に他に好きな人が出来ても
たい兄が好きだろうな。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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