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シロツメクサ Ki 3 ページ26

借金は
5年で完済した。

後から彼の借金は
株だったとかどーとか聞いたけど
どうでもいいことだった。

一応被害届は出したけど
返ってくるとは思えない。



最後の返済は小夜子ママに同席してもらった。
小夜子ママの知り合いの弁護士さんと共に。

「もう二度と世話になるなよ」

借金取りのお兄ちゃんに言われたけど

「なりません。今までお世話になりました」

深々とお辞儀をしてお見送りする。



「終わったー!」

のびをすると

「これからどうするの?ヒロ」

小夜子ママが聞いてくる。



『ヒロ』は私の源氏名で
初恋のヒロくんからいただいた。

いま思えばあの時が私の人生絶頂期だった。

もう男の人は一生信じないって決めたけど
ヒロくんとの事は忘れたくないから『ヒロ』にした。

『ヒロ』なら女の子でも違和感ないしね。



「当然ここで働くよー」

「良かったわー。今週も銀行とか大手さんの予約入ってるからよろしくね!」

「はーい」

「今日はお祝いにいいお酒開けて朝まで飲みますか」

「やったー!」



ママのご好意に甘えて朝まで飲んで
コンビニで新聞と朝ご飯を買って
マンションの郵便受けに入ってる新聞たちを抱えて部屋の前に向かうと
隣の部屋のドアが開いている。



………あれ?

お隣の角部屋空き家だったのに
誰か引っ越してきたんだ。



気になったけど
睡魔には勝てず部屋に入ると
シャワーを浴びて一眠りする。

昼過ぎに起きて
経済誌や新聞を読んで
スマホで政治のニュースを読みながらご飯を食べた。



出勤の準備をするタイミングで

ピンポーン

チャイムが鳴る。



え。
ジャージなんだけど。

ま、いいか。

「はーい」

ドアスコープを覗くと
髪の色があかるい目がクリッとしたお兄ちゃん。



…誰?



チェーンをしたまま開けると

「はじめまして、隣に引っ越してきた北山です」

少し甘めの鼻にかかった可愛い声のお兄ちゃん。



学生さんかな。

いや、このマンションはそこそこ高いから
社会人だろうな。



「ちょっと待って下さい」

チェーンを外してドアを開けて

「はじめまして、Aです」

挨拶をするとニコッと笑う北山くんは

「明日本格的な荷物運びするんで少しうるさいかもしれません。よろしくお願いします」

最近人気の
1時間待ちで買うお菓子屋さんのクッキーをくれた。



明日は休みだから寝てたいけど
このお菓子貰えたら許すしかない。



それにしてもこのお菓子のチョイス。

この人、只者じゃないな。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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