すぐ近くにいる another story 6

妹。F -side you- 50 ページ22

それから
みつ兄はご機嫌で。

無理してるというよりは
ちゃんと笑ってくれていた。



最終的にみつ兄は

「結婚式で俺Aの隣歩くのぜってー嫌だからな！」

なんて頼んでもないのに言い出すし。



良かった。

みつ兄がいいって言ってくれるなら
もう大丈夫だよね。



明日は私とたい兄はお休みでみつ兄は仕事で。

3人とも実家には泊まらず
みつ兄は一人暮らしのおうちに
私はたい兄のおうちにお泊まりする事にした。

たい兄のおうちに着いて
たい兄が先にお風呂に入る。

テレビの横には
USJでの家族のフォトフレームの横に
私が置いていた『たい兄大好き』のフォトフレーム。

そしてその横にたい兄の昔の携帯。



……私が送ったメール、見たって言ってたな。



恥ずかしくて私は消しちゃったから
どんなメール送ってるか覚えてないんだよな。



「たい兄ー、昔の携帯見ていい？」

シャワーのたい兄に声を掛けると

「いいよー」

たい兄の声が返ってくる。



メール画面を開くと
私のメールが全部開封済で全部残ってる。

……恥ずかしいな。



『たい兄からの手紙いま見ました。私もたい兄に気持ちを伝えたいのでいまから行きます！』

から始まっていた。



『たい兄どこにいるの？』

『もう嫌いになった？』

『返事ください』



数日空いてから
多分たい兄が連絡先を変えたってママから聞いた頃だろう。

『たい兄が気持ちを伝えてくれたように私も気持ちを伝えたいから待ってて』

『今日は名古屋に来ました。たい兄ときしめん食べたかったな。』

『たい兄元気かな。寒くなったけど風邪引いてないかな。』

『たい兄へ 会いたいです』

この辺から手紙みたいになった事を思い出す。



『今日、唯ちゃんが永瀬くんと喧嘩したよ。仲直りのお手伝いしました。褒めてほしいな。』

『これから夜勤です。たい兄に頑張れって言ってもらいたいな。』

『明日のランチ豚汁定食だって！明日の仕事楽しみだなー！』

『豚汁定食売り切れだった。残念。』



本当にどうでもいいことばかり送ってる。

笑っちゃった。



最近になると

『今日はたい兄がくれたトースターでパン焼いたよ。美味しかった。たい兄との朝ごはん楽しかったな。』

『先輩の結婚式でサイドを編み込みにしてもらいました。私って編み込みが好きなんじゃなくてたい兄が編み込みしてくれる時間が好きだったんだなって気づいたよ』

どんどん重くなってきてる。



ひどいな、これ。

恥ずかしくなってきた。

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