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妹。F -side you- 47 ページ19

「ホントはね」

たい兄が
私を抱き締めたまま

「兄貴が探してくれてるって教えてくれてから最初は嬉しかったけど、最近は不安だった」

ポン、ポン、ってゆっくり背中を叩いてくれる。



「不安?」

「うん。Aの気が変わったらどうしよう、って。だから兄貴に俺の居場所教えちゃって、って言いたかった」



たい兄は

「でもね、20年以上待ってたんだしAに時間かかっても探して欲しいなって思ってちゃった」

私をギュッて抱き締めて

「ごめんね」

って本当に申し訳なさそうに言う。



たい兄は悪くない。
謝る必要なんてない。


「私の方がごめんなさい」

悪いのは私だ。



「いつも勝手にたい兄から逃げて、毎回嫌な思いさせてるもん」

たい兄に抱きつくとたい兄は

「必ずここに帰って来てくれるならいいよ」

また甘い声で囁く。



もう無理。

たい兄が好きすぎて。



「たい兄…」

泣きそうになる。
たい兄の温かさと優しさが堪らない。



「もう、どこにも行かない。たい兄のそばにいる」

「ふふふ、お仕事どうするの?」

「仕事は行く。休みに毎日来る。明けの時も来る」

「じゃあ俺もお休みの時は会いに行くよ」



また優しくキスをしてくれるたい兄に
もうドキドキも止まらない。



「一緒に寝ようね」

「もちろん」

「一緒に起きようね」

「あはは、そうだね。…明日俺は仕事だからそろそろ寝ないと」

「あ、うん。ごめん」



たい兄から離れようとするけど
たい兄は私を抱き締めたまま離れなくて。



「……ダメだ、離れたくない」

たい兄がまたギュッて抱き締めてくれるから

「たい兄…」

私も本当は離れたくないから抱き返した。



抱き合ったり、キスをしたり。

ずっと離れない私たち。



さすがに日付が変わる頃

「明日の仕事、出来なくなっちゃうよ?」

たい兄に言うと

「健永に頑張ってもらって俺は休んじゃおうかな」

なんて意地悪な顔をしてる。



「また来るから」

「うん、俺も行く」



またチュッて音を立ててキスをして至近距離で微笑みあう。



寝る支度をしていよいよベッドに入るときに

「やっぱりたい兄のココ落ち着くー」

たい兄に抱きつく。



「これからは落ち着かれると、困るんだけど」

たい兄は意地悪な顔をするから
意味が分かってちょっと恥ずかしくなる。



覚悟したタイミングで

「けど、その前にまずちゃんとしないとダメな事があるからね」

たい兄が微笑む。



………そうだった。

忘れてた。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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