妹。F -side you- 44 ページ16
「待って!」
男の人が追いかけてくる。
え、やだ。
本当に怖い。
走ったら
「ガヤさんの妹でしょ!?」
後ろから声がする。
ガヤさん?
誰のこと??
そのまま走ってると
「藤ヶ谷さん!!」
今度は苗字を呼ばれる。
何で私の苗字?
振り返ると
「やっぱりガヤさんの妹だー」
その人が嬉しそうに笑って私に近づいてくる。
ガヤさん?
藤ヶ谷さん?
ってことはもしかして
「藤ヶ谷太輔を、ご存知ですか?」
「うん!僕、ガヤさんの後輩で千賀健永って言います!」
千賀さんはニコッて笑う。
たい兄の知り合いなんだ。
それにしても
ものすごくイケメンだな。
「ガヤさんにはものすごくお世話になってて、何度か泊まらせてもらったことがあるんですけど。部屋に写真が飾ってあったからすぐに妹さんってわかりました!」
千賀さんが嬉しそうに話してくれてる。
…たい兄、写真飾ってくれてるの?
昔からのかな。
私が置いていったやつかな。
「あの、その写真って…」
「あれ?健永まだ居るの?」
聞き覚えのある声。
聞き間違える訳がない。
声だけで心臓がギュッてなる。
「あ、ガヤさんっ!」
千賀さん手を振ってがたい兄の事を呼ぶ。
ほら、やっぱりたい兄だ。
「……え?」
たい兄が驚いてる声がする。
どうしよう。
急に緊張してきた。
「ガヤさん!妹さん来てますよ!!」
千賀さんが無邪気に言う。
「……A?」
たい兄から名前を呼ばれてドキッとする。
ダメだ。
本当にたい兄が好きだ。
名前を呼ばれただけで
胸が苦しくなる。
振り返らない私を不思議そうに見てる千賀さんに
「健永、彼女が夕飯待ってるんじゃないの?」
「あ!はいっ!帰りますっ!!ガヤさんお疲れ様ですっ!妹さんもまた!!」
たい兄が言うと
千賀さんは彼女との約束を思い出したのか慌てて挨拶をして走り出す。
残された私はまだたい兄の方を振り返る勇気がなくて
しばらくそのままで居ると
「A」
またたい兄から声を掛けられた。
今度は少し優しい声。
嬉しくて振り返りたいけど
やっぱり怖くて。
困ってたらゆっくり靴音が近づいてくる。
私の手前で止まると
ふわっとたい兄に包まれる。
「……A」
優しくて、どこか甘い声。
「たい兄」
やっと声が出て。
振り返ると当然すぐ近くにたい兄。
もっと顔を見たいのに
顔を見た途端、涙で視界がぼやけた。
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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時