すぐ近くにいる another story 6

妹。F -side you- 43 ページ15

みつ兄の家を出ると
寮に着く時間を逆算して
時間になったらみつ兄に『寮に着いた』って連絡して
実際はビジホに泊まる。

寮はネット使えないし
プリンターもない。

だから駅近くの
ネットとプリンター使い放題なビジホを見つけて泊まった。



そしてたい兄の会社の支店一覧と
会社の場所をプリントアウトする。



全国に全部で30箇所。

一つ一つ行ってみて
仕事が終わる時間に入口で待ってみるしかない。



次の日寮に帰って
唯ちゃんにそのことを話すと

「手伝おうか？」

言ってくれるけど

「ううん、大丈夫」

これは1人でやらないと意味がない。



ただ、永瀬くんも一緒に心配してくれて
せめてこれだけは、って携帯をスマホに替える手続きを手伝ってくれて
地図アプリを入れてくれる。

「これで会社やホテルまで迷わず行けるよ」

使い方も教えてくれる2人には
感謝しかない。



休みの希望を平日の連休で出して
夜勤明けで向かって泊まるとかすれば
月で4-5箇所くら行けるから半年で合えるかもしれない。

たまたま行った日にたい兄が休みの可能性もある。

そうなったらもう一周か。



あの手紙からしてたい兄は
もう私の事を忘れるつもりなのかもしれない。

すでに他に好きな人がいるかもしれない。



だとしても、私が同じ気持ちだった事を伝えて
ケジメをつけたい。

私も好きだよ、って言いたい。

その一心だった。



休みの日になる度遠くに行ってみて
夜勤明けは仮眠を取って近場に行く。

そんな生活を2ヶ月続けるとさすがにしんどいし
ママにもみつ兄にも会わないから2人とも連絡してきたけど
仕事が忙しい事にした。



3ヶ月目。

さすがに辛くなってきた。



暑い間は良かったけど
夕方や夜は11月になると寒くなってきて。

さすがに北海道や東北の方は冬はやめておかないとだな。

だとしたら暑い間に北に行っておけばよかったって
ものすごく後悔する。



今日も少し地方に来てて
そろそろ21時になろうとしていた。

……ここもダメかな。



帰ろうとした時にビルから1人の男の人が出てきた。

けど、その人もたい兄じゃなかった。



ビルのたい兄の会社の階は電気がついているけど
さすがにこの時間より遅いのは怖いし。

帰ろう。



ホテルに向かって歩きだそうとしたら
男の人がじーーっと私を見てる。

え、怖い。



冷静に考えると
こんな時間にこんなところに人がいるとかおかしいか。



逃げるようにホテルに向かって歩き出した。

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