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妹。F -side you- 40 ページ12

寮に入ってから
3年になる頃。

休みの日に
唯ちゃんが私の部屋でダダをこねていた。



「ねー、食べようよー」

「いらないって。食パンでしょ?朝食べてるし」

「生でも美味しいって言うじゃん」

「トーストの方が美味しいって」



唯ちゃんが食べたがってるのは
近所に出来た食パン専門店の食パン。
ふわふわで生でも美味しいらしい。

今日はお休みで食堂のご飯以外が食べられるから
唯ちゃんはその食パンをお昼ご飯として食べたいって言う。



パンが好きな唯ちゃんにはいいかもだけど
おかず無しでパンだけとか微妙だよ。



「確かに焼いても食べたいから食堂でトースター借りれないかなー」



唯ちゃんに言われて気づく。

私、オーブントースター持ってるな。



こっちに引越してきた時
1つだけ見覚えのない段ボールがあって。

開けてみたらたい兄が譲ってくれたトースターが入っていた。

たい兄の前では嬉しくてはしゃいだけど
たい兄との楽しかった日を思い出して辛いから
就職祝いでもらったお財布たちと一緒に封印した。



「私、トースター持ってる」

「え!ホント!?」

「うん」

「えぇーっ!じゃあ食べてみようよ!」



唯ちゃんは買ってくる!って
私の返事を聞かずに飛び出していく。



…仕方ないか。

段ボールからオーブントースターを取り出すと
そのさらに下に封筒がある事に気づいた。



何だろ?

取り出すと中に便箋が入っている。



開くと手紙が入っていた。

たい兄の字だ。





−−−−−−−−−−−−−−

Aへ


改めて就職おめでとう。

Aと過ごした4年間は
俺にとって
例えるなら宝箱みたいなキラキラした日々でした。

毎日が楽しくて幸せで
こんなに楽しい4年間は今まで過ごしたこと無かったよ。

一緒に過ごしてくれてありがとう。



多分この手紙にAが気づく頃
もう立派な社会人になってるだろうね。

俺の事も忘れてるかもしれない。

だから、その時に笑って読んでもらえるように
いまの俺の気持ちを伝えておきます。



Aの事が
一人の女性として好きです。

こんな事言って気持ち悪いかもしれないけど
初めて会った小さい頃から
Aが大好きです。



どうか、誰よりも幸せになって下さい。



太輔

−−−−−−−−−−−−−−



……何これ?

最後の手紙みたいに。
しかも私がすぐに気づかない事も想定してる。


えっ?どういう事!?



軽くパニックになったまま
手紙を持って部屋を飛び出した。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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