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妹。F -side you- 30 ページ2

みつ兄と
しばらく睨みあった後
急にフッてみつ兄が笑った気がした。



そして

「…分かったよ」

みつ兄が折れる。

「いいの!?」

2、3日は口聞かないとか
成績があと何位まで上がったらとか
模試でA判定とか
長期戦覚悟してたんだけど!!



「ただし、太輔には自分で話すこと。あと、一緒に暮らすことになったら太輔に絶対迷惑かけるなよ」



不貞腐れた感じでみつ兄が言う。



一番反対すると思っていたみつ兄を
まっ先にクリアできるとか想定外すぎる!

ものすごく嬉しくてみつ兄に抱きついた。



「やったー!みつ兄ありがとう!大好き!!」

「うわっ、ウザっ。こんな時ばっか」



必死になってみつ兄が私から離れようとしてるけど
私はしがみついて離れなかった。



その後ママも渋々許してくれて
後はたい兄にお願いするだけになる。



でもたい兄は
一人暮らしが楽しそうで。



私が行く度に家具や家電増えてて
「これ便利なんだよ」ってプレゼンされる度に
あぁ、1人の方がいいのかな、って不安になった。



女の子の影は無かったけど
私が知らないだけなのかもしれない。



そう思ったらなかなか切り出せなくて
結局言えたのはそれから1年後の高2の秋。



「そもそもAは将来何になりたいの?」



たい兄に聞かれた時に。

今だ!って思った。

そして言いたかった。
「たい兄のお嫁さんだよ」って。



でもたい兄にとって私は
悔しいくらい妹だった。



『だって血の繋がり無くたって、太輔はお前の兄貴だしお前は太輔の妹だろ?』



その言葉は
呪縛みたいに私を縛り付ける。



いっそ言ってしまおうか。



たい兄は私の事をどう思ってる?

ママもみつ兄も
私がたい兄の事を家族じゃなくて
男の人として好きって言ったら
どう思うかな。



せっかく今までうまくいっていた藤ヶ谷家が
崩壊しちゃう。

たい兄だって
こんな私を気持ち悪いって思うかもしれない。



どうしよう。

たい兄に嫌われたら
生きていけないよ。

想像しただけで涙がこぼれる。



「……私の夢は、叶わないの。一生」



理由も言わずにただ泣く私に
たい兄は呆れると思ったけど

「ひろみがもしこっち来たいなら俺もこっちで就職先探すよ」

泣く子をあやす親みたいな感じで
言い聞かせるように言ってくれる。



「…ホント?」

「うん。だからひろみのしたいようにしたらいいよ」



優しくたい兄が言ってくれたから
正式に大阪の大学に進学を決めた。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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