サイボーグな彼女 12

ふたりの夢 1 ページ44

映画も始まり
舞台挨拶も一通り終わって
杉山さんも復帰する頃
私と宏光も被らないものの休みが取れるようになる。

宏光は飲み歩くようになったし
私は家の事があったから
休みの日は家の事をしてて
ついでに宏光の洗濯や簡単な掃除もしていた。

「めっちゃ助かるけど休みは休めよー」

宏光は言ってくれるけど
家事は嫌いじゃなかったし
洗濯物を綺麗に干せた瞬間の開放感が好きで
まぁまぁの頻度で宏光の部屋に行く。



宏光が帰る前には帰ってたし
宏光が出掛けてから部屋に行っていたから
コンシェルジュさんにも

「マネージャーってのは大変だねぇ」

全然不思議がられない。



そして宏光はたまに酔っ払って

「Aーっ、ただいまー」

夜中に寝にやって来てルームウェアの中に手を入れて体を触ってきて

「………シよ」

ものすごく気持ち良くしてくれる。



不満は無かった。



ただとにかく会話が減った。



ドライブレコーダーがついたから
2人きりで移動の時の会話が事務連絡と普通の会話だけだし
宏光も飲み歩いてるから移動中はグッスリだし。



そんな中だったから余計に気になった。



「あ、北山さんまたこの子との目撃情報撮られてる」



収録の合間。

収録を見守る班と事務処理班に別れて
事務処理班になってる私と杉山さんがエゴサーチをしてる時に
アイドルの女の子と会員制のバーで飲んでるっていう情報を見つけた。



「2人じゃないんスよねー。いつもグループだし多分この一緒にいるのマネージャーさんなんですけど」

「…見せて下さい」



杉山さんのタブレットを見せてもらうと
確かにその子のマネージャーさんで一度挨拶をした事もあった。



「そうですね、マネージャーさんです」



しかもグループで飲んでて2人きりではない。

宏光の周りにも宏光の友達が居たし
同じ事務所の人もいた。



「これじゃ誰が目当てか分かりませんしただの偶然かもですけど何だか気になりますね」

「3度目くらいですかね」

「そうですね」



顔を見合わせる私と杉山さん。



「一応メモしておきますか」

「そうですね」



杉山さんが記録に残す。

私も自分で見てるエゴサーチの続きに戻る。



たたの偶然？

でもそれにしてはこの2ヶ月で3回とか。



「でもこの子可愛いですよね」

杉山さんが言う。



「確かグラビアもやってるし…こんなこと言うのもアレですけど北山さんの好みですよね」

「え？」

「背が小さくて胸が大きいって」



……そうなんだ。

ふたりの夢 1 ki→←好きすぎるから 29 ki

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す