サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 29 ki ページ43

「…約束、果たせたな」

果てた後。

昨日の夜の『帰ったらもっと』を
果たした俺たち。

乱れた息が止まらない。



汗で張りついたAの前髪を上げると

「……」

黙って俺を見つめるA。



「ゴメン、し過ぎた？」

「………うん」

「あはは、Aが気持ち良さそーで止まんなかった」



すごい色気でヤバかったんだけど。



「もう動けない」

「あはは、風呂は朝入ろっか」

「…それもそれで嫌かな」

「汗かいてるしな」



Aの全開のおでこに口付けると少ししょっぱいし。



ただ今日はものすごく満たされた。

「すげー可愛いかった」

「何が？」

「『宏光、好き』って」

「……」



してる時に言い続けてくれて。



ものすごく恥ずかしそうなAの唇にチュッてキスをすると
至近距離で見つめる。



さっきからAの事が好き過ぎて。

自分が思ってる以上にAが好きになり過ぎて。



ちゃんとAに好きって言えない。



自分のAへの『好き』が自分が思ってる以上に『好き』になってて。



Aはめちゃくちゃ言ってくれてるのに。

あんな顔をして『好き』って言ってくれてるって事は絶対俺の事好きだなって
俺が思ってた以上にAは俺が好きだなって自覚出来て。



「炭谷さんに約束したから」

「何をですか？」

「Aを幸せにするって」



俺も好きだよ、の代わりに言えたのはこんな事。



やべーわ。

俺ホントにAが好きになり過ぎてる。

炭谷さんに取られるって思ったら情緒不安定になるくらい好きになってる。



なのに

「幸せかどうか決めるのは私ですけど？」

Aは不満そう。



「は？」

「宏光は『ずっと』を私に証明してくれるんだよね？それだけで十分幸せだし幸せかどうか決めるのは私だよ？」



マジでか。

炭谷さんの言った通りじゃん。
Aはそう言いそうって。



いかにもAらしい返しと
Aの発言が炭谷さんの言ったまんまなのが悔しくて。



「…そ」



ものすごく不満そうな顔をしてる俺にAが笑う。



「なんも面白くねーよ」

「ごめん、でも…」



言いかけたAの唇をキスで塞ぐ。



「『ずっと』を証明するだけじゃねーから」

「え？」

「ちゃんとAが幸せって思えるよーにするから」

「……ん」



照れてるのかはにかんで笑うAの顔が愛しくて。




ライバルは炭谷さんだけじゃない。
Aの1番になり続けよう。



心の中でそう誓った。

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