サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 9 ページ3

夕飯の容器を持って
宏光のマンションに着く。



何時になるか
分からないような仕事？

そんな仕事あったかな。



合鍵で中に入って部屋の前で一応チャイムを鳴らしてから部屋に入ると

「おー、おつかれー」

シャワーを浴びたのかお風呂上がりの香りをさせて
私が買ったルームウェアを着た宏光が迎えてくれる。



宏光が出迎えてくれる状況って
考えてみたら無かった気がする。

初めてだから
どうリアクションしていいか分からなくて。



そんな私に宏光が笑って

「あはははは、確かに変だな。A来る時いつも俺寝てるとか家にいねーこと多いから出迎えたことねーもんな」

言いながら荷物を持ってくれる。



「はい、上がって上がって」

「…お邪魔します」



やっぱり違和感。

何だか緊張する。



けど宏光は

「あー腹減った」

って廊下を先に歩き出してて全く違和感感じて無さそう。



「今日はカレーです」

「まじっ！？」

「野菜のカレーでお肉入ってません」

「…お、おぅ…」

お肉がないことにテンションが下がってる宏光の顔が面白くてつい笑っちゃう。



そんな私に宏光は

「笑うなし」

口を尖らせていつものオフな顔をして私を小突くから
やっぱり宏光は私が気にする程
昨日のことも一昨日のことも気にしてないんだなって思う。



「資料全部寝室なの。さっさと食って打ち合わせするぞ」

「はい」



食べながら本当に普通に仕事の話をした。

これからの海外弾丸や札幌弾丸の話とか。



「札幌とかマジでヤバいよな」

「ご飯はもしツアのロケの時間しか食べないですからね」

なんて話してたら食べ終わった宏光が

「なんか飲み物いる？長くなるかもしんねーから飲み物いるだろーから」

そう言って立ち上がる。



飲み物か。

「りんご蜂蜜生姜ティの準備ならしてますけど」

「へ？」

「飲むかな、と思って」

宏光は寒がりだから打ち合わせなら必要かなと思って持ってきてあった。



「なら作ってもらおっかな」

嬉しそうに笑う宏光は
電気ケトルにお水を入れてお湯を沸かしてくれはじめる。



「確かにりんご蜂蜜生姜ティの方がこの後の飲み物にいいかもしんない」

宏光が言うけど何でだろう？
全然ピンと来ない。



「そろそろ教えて下さい。打ち合わせって何でですか？」

「Aさ、エレクトーンやってたって言ってたよな？楽譜も読めるよな？」



宏光は私の質問に答えずマグカップを出して

「まぁ後で説明すっから」

としか言わない。

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