サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 17 ページ19

映画のプロモーションの一環で
台湾弾丸1泊2日。

さらにバラエティのロケもやる予定で
ものすごくハード。



空港で涼さんと映画の制作側の人達と待ち合わせ。



海外なんて久しぶりだし
少しワクワクしちゃってる。

免税店で化粧水とか買えないかな。



「こら」

宏光がふと呼ぶ。



「なに地味に海外でテンション上げてんの？」



さすが。
宏光にはバレてる。



「上がってません」



むしろ仕事は不安です。
英語そんなに得意じゃないのにさらに中国語なんて。



「嘘つけ、俺しか分かんねーだろーけどニヤけてんぞ」

さり気ない『俺しかわかんない』が何だか擽ったい。



「…ニヤけてません」

ニヤけてるとしたら今の発言に対してな気がする。



「ニヤけてる」

「ません」



小声でやり取りしてるとやってきた涼さんたち。
現地の案内役の人達もいる。

「今日からよろしくお願いします」

「「よろしくお願いします」」

名刺交換をして早速搭乗手続きに向かう。



「予定では映画のプロモーションと映画祭への出展とバラエティの収録ですよね」

「はい、その間は現地の支局の方がついて下さる予定で…」

案内役の人と打ち合わせをしながら宏光にも気を配ったり
頭に叩き込んでるスケジュールとのすり合わせをする。



ふと涼さんを見ると何だか顔色が悪い。

気のせいかな。



「そちらがバラエティ撮ってる間、こちらは別の映画のプロモーションの打ち合わせをするので」

「そう伺ってます」

「夕飯は一緒にどうですか？」



そう聞かれたから宏光を振り返ると

「はい、是非」

アイドルスマイルで答える。



「…ではそのように」

「よろしくお願いします。その場合の経費分担ですが…」



最終調整も済んで搭乗手続きが終わってから
タブレットにその情報を打ち込んでると

「…なぁ」

宏光が小声で呼ぶ。



「はい」

「自由行動の時間あんの？」

「…おそらくないかと」

「だよなーーー」



スマホを開いて仕事の共有スケジュールを見る宏光はため息をついた。



「あー、夕飯断れば良かった」

「なんでですか？北山さん的にも情報交換出来ていいと思いますケド」


あまり制作の人達と話す機会ないから絶対一緒にご飯だろうな、と思ったのに。
珍しい。



大きなため息をついた宏光は

「海外なら2人で歩いててもあまり目立たねーと思ったんだよ」

なんて小さい声で言うから
あ、私のために考えたんだってようやく気づいた。



…甘いよ、宏光。

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