サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 14 ページ13

誤解が解けてからは
宏光と普通に過ごせていた。

外ではマネージャーとタレント。

家に帰れば
たまにうちに来て一緒に過ごして。



さすがに宏光の家に行くことは無かった。



私の家なら社宅だし玉森さんも居るし
しかも社宅内に事務所の資料が見れるパソコンが置かれた部屋が出来て
各グループのマネージャーはもちろん
タレントも使うようになった。

結果、玉森さんも住んでるし資料も見れるし
宏光が社宅に来ることが全く違和感なくなる。



社宅に来ることに違和感がなくなる話をしたら宏光は笑う。

「タマんちとか俺行かねーけど」

「宮田さんはたまにいらしてますけど」

「へー」

「だからこの前呼ばれました。ゲームするからおいでって」

「はあっ！？」

「宏光も来ない日だったから…」

「行ったのかよ！」

「…ご飯作ったり家事したかったから断りました」



私が行ってないって分かったら
早とちりして恥ずかしかったのか宏光は真っ赤になってる。



「まぁ別に？宮田いるならいいんじゃねーの？」

宏光はごにょごにょ言ってるけどホントは行ってほしくないのかな。

ここで笑うと怒るから黙ってみた。



「…あんだよ」

「私、なにも言ってないけど」

「……そ」



宏光は相当恥ずかしかったのか沈黙にも耐えられずすごく悔しそう。
そしてこういう時宏光に好かれてるなって改めて思う。



そして、宏光も行くなとは言わない。
けど行って欲しくないっていうのが分かりすぎる宏光の態度が何だか嬉しくて。

だから私も「行かないから大丈夫」とは敢えて言わなかった。



宏光が言わないなら私も言わない。

むしろそれでお互い分かってるならいいかな、って思う。



映画の公開も近くなって直前の番組の収録とか取材が増えて
涼さんがいる事が多くなる。



前までなら不機嫌だったのに上機嫌な宏光。



「北山さん、何かいい事あったの？」

さすがに涼さんが不思議そう。

「いえ、特に」

理由までは私も分からないのでそう答える。
そのまま私と涼さんが話してても何も言わない。



「A、タバコ」

私と涼さんが話してて休憩に行く時も宏光は至って普通。



そして涼さんともニコニコしながら帰ってくる。



「すごくご機嫌だね」

「そか？」

帰りの車で聞いても特に何もなさそう。



でも少しして

「……よ」

不意に宏光が言う。



「え？」

聞き取れなくて聞き返すけど

「聞こえないならもう言わねー」

宏光はニヤッて笑うだけだった。

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