サイボーグな彼女 12

好き過ぎるから 13 ページ11

pipipipipi…

めざましの音がするっことは9時か。



スマホを止めようとすると
服の裾から宏光の手が入ってくる。



「早くね？」

「え？」

「まだ朝だろ？」

「9時」

「早ぇーよ」



そう言って宏光の手がだんだん上に上がってくるから

「もうダメ」

めざましを止めてから宏光の手を止める。



「大丈夫、俺のめざましは11時にしてあっから」

何が大丈夫？なんて不毛な質問はしない。



「帰る」

「帰しませーん」

私の顔にかかった髪をかきあげて舌を絡めるキスをしてくるから
また甘い空気になってきちゃう。



「この後仕事だよ？」

「そーだよ？切り替えればいいだけの事だろ？」

「昨日したでしょ？」

「いまもしたい」

「私はいい」

「だから『いい』ってOKってことだろ？」

「違うっ！」



宏光は嬉しそうにニコニコしてるから
反応を見て楽しんでるのもあるんだろうな。

私としても宏光のベッドの中って貴重だし
もう少し一緒に居たいから抱きついた。



「おっ」

「しばらくこうしてちゃダメ？」

驚いてる宏光に
帰りたいわけじゃなくて少し早めに行動したいだけで
ここにいるのは嬉しいんだよ。
その意味も込めて聞いてみると

「ん、いーよ」

宏光は優しく笑って緩く抱き締めてくれる。



「あーもう帰したくない」

「私もずっとここにいたい」

「え？ホント？じゃあ2人でズル休みすっか」

「…ね」



お互いダメなことは重々承知してる。
でも言ってみたくて言うと宏光が笑う。



「あはは、昨日からAがめっちゃ素直」

「今日くらいはね」

「こんなに素直になってくれるならたまには不安にさせてもいいかなー」

宏光がイタズラっぽい顔で私の顔を覗きこんでくるから冗談でも少しムッとする。



「ほーら、そんなにむくれると可愛い顔が台無しですよー」

宏光は私の頬をグリグリしてるけど私は不満で。



無言で宏光をジッと見てたらフッと優しい顔をして

「ごめんな」

急に謝ってくる。



何がかな、って思って何を言うのか待ってみたら

「Aを不安にさせてホントにごめん」

頬に手を添えてそっと撫でてくる。



「私が勝手に不安になっただけなのに」

「でも不安にさせたのは俺だろ？玄関にチェーンかけさせるくらい」

「…あれは…」

「インフルエンザかもしれなかったからだろ？でも今までのAならそんなことしなかったよな」



それこそ宏光だって嫌な思いしたはずなのに責める言い方をしてこない。

優しすぎだよ。

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