サイボーグな彼女 8

わからない？ 3 ページ41

合宿当日。

帰りに北山さんが銀座で買い物すると言うので
銀座で下ろして私はスーパーに買い出しに。



テンションを上げて貰った方がいいよね。

北山さんが喜ぶ物を作りたいな。



この前福島に行った時に由紀さんから使ってないからって貰ったすき焼き用の土鍋を思い出して
奮発してすき焼きのセットを買う。

すき焼きだと服に匂いがつくから部屋着には着替えずに準備をしてるとインターホンが鳴る。

「ただいまーっ」

北山さんの声。
相変わらずの挨拶。



ただいまは違う気がするけどそのまま支度をしてると

「え！今日パーティ？」

リビングに入ってきた北山さんが驚く。



「テンション上げてもらいたいし私も頑張りたかったのでお肉にしました」

「マジか！めちゃくちゃ嬉しい！！」

ものすごく嬉しそうな北山さん。

「シャワーはご飯の後の方がいいと思います」

「だな」

「じゃあ食べますか」

「お！そしたらコレ冷凍庫入れとく」

そう言って見せてくれる高級アイス。



「飲み物、お茶にしましょう」

「だな。早く終わったらビールにしよーぜ」

北山さんがお鍋の器やコンロセットを出してくれてる。



支度がほぼ終わって北山さんがソファでくつろいでると

「あれ？A電話じゃね？」

スマホを私に見せてくれながら言う北山さん。

「はい」

受け取ると画面の表示は

『宣伝 炭谷』

少し憂鬱だけど出る。



「はいAです」

『お疲れ様です。いま大丈夫？』

「はい」



なんとなく北山さんから離れて会話をする。

『雑誌のアンケート一部変更になったから差し替えを送ったから確認して』

「分かりました」

『あと、今度食事でも行かない？』

「行かないです」

『あは、冷たいな』

笑ってる炭谷さんが何だか楽しそう。



『打ち合わせも兼ねてさ』

優しい言い方をしてる炭谷さんだけど私は本当に行きたくなかったから

「メールと電話とオフィシャルで済む話以外に有りますか？」

そう返すと電話の向こうで炭谷さんは笑ってる。



『相変わらず冷たい言い方だな。彼氏出来てないでしょ』

「…その質問は不要かと存じますが」

『まぁそうかもね。でも俺は偶然会えて嬉しいと思ってるから少ししつこいかも』

「私は変わらないですから」

『へー。でも俺は変わったよ。今ならAと過ごせるくらい大人になったから』

「……失礼します」



返事をせずに電話を切った。




多分炭谷さんは偶然の再会に勝手に盛り上がってるだけだろうな。

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