サイボーグな彼女 8

そうじゃなくて 13 ページ5

北山さんは
千賀さんとライバルじゃないのかな。

しかもモデルさんとサウナに行った次の日に
千賀さんと行くとか。



聞くのも野暮だし
そもそもこの話は玉森さんとの秘密だから。



そして藤ヶ谷さんが言ってた目で分かるっていうのも今日分かった。

思わず目を見開いたら北山さんがものすごく反応していた。

こういうことですね、藤ヶ谷さん。
気をつけないと。




今日はバラエティの収録。
例のモデルの彼女も同じ場に居る。

「今日はよろしくお願いします」

収録直前の挨拶も爽やか。



確かに千賀さんはすごくニコニコしている。

千賀さんをついつい見てたら玉森さんに口パクで「見すぎ」って言われる。

小さく頭を下げたら緩く笑う玉森さん。



収録の合間の休憩で
今日は武田さんと杉山さんが打ち合わせでいないから藤ヶ谷さんと玉森さんを担当する。

「Aちゃーん。次の休憩でタバコ切れちゃうー買ってきてー」

「Aさん、この後の俺のスケジュールは？」

2人か同時にやってくる。
北山さんの影響なのか2人も周りに人が居る時は苗字呼び。



北山さんは共演者さんたちと談笑してる。

その中には例のモデルさんもいて。
その輪の中に千賀さんが入ると北山さんがスッて抜ける。



……北山さん、辛い恋してるんだな。



何だか胸がギュっとなる。



メンバーと同じ人を好きになるってどんな気持ちだろう。

そもそも彼女はどっちが好きなのかな。
というか、彼女は誰が本命なんだろ。



「Aさん」

気づくと藤ヶ谷さんが心配そうにこっちを見てる。



「大丈夫？」

「はい？」

「ぼーっとしてるし目が悲しそう」

そう言うと私の目元をちょんちょん、って触る。



「……また出てました？」

「うん」

「難しいですね」



また無意識だった。
北山さんに勘づかれるのも時間の問題かな。



「んー、別にいいと思うけど」

藤ヶ谷さんは言う。

「何がですか？」

「Aさんは口にしない分、目くらい意思表示してもいいんじゃない？マネージャーなんか気持ちダダ漏れで困るくらい」

藤ヶ谷さんの言うところのマネージャーは武田さんのこと。
武田さんは確かに少し自重して欲しいけど。



「番犬もあーいう顔してるくらいだし」

「番犬？」

藤ヶ谷さんが見てる方を見ると北山さんがこちらを怖い顔をして時計を見せて時間をアピールしてる。

「ホント、わかりやすいよ北山は」

そう言って戻る藤ヶ谷さん。




私には相当分かりにくいですけど。

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